18.気になる背中 ページ18
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大丈夫？ 俺も行こうか？
と言ってくれたテヒョンの言葉に頷いておけばよかった。
そう思ったのは、コソコソと足を忍ばせて帰った筈の門の前にユンギさんが思いっきり仁王立ちしていたからだ。
今の時刻は夕飯の五時どころかお風呂の七時だって軽く過ぎている。
｢……｣
｢……｣
｢……た、ただいま……です｣
物凄く怒っている表情のユンギさん。
怖いけれど、それよりも脳裏には｢この人は神様なんだよなあ｣って言葉が浮かんでばかりいた。
とりあえず黙秘で通す。変な言い訳も効かなそうだし、泣きそうなジミンさんの顔がチラついてしまって、遂には何も喋れることがない。
｢何があった？｣
｢え……っと……な、なにも？｣
｢……｣
ジロリと厳しい目が飛んできて、バクバクと心臓が嫌な跳ね方をする。
押し黙る私を数秒睨み付けていたユンギさんは、意外にもすぐに気が済んだのか踵を返す。
少しホッとしてその後ろに続こうとすると、家に向かうその背中から｢……首塚の社に行ったのか？｣と問いかけられて、うっかり腰を抜かしそうになった。
こういう時は、兎にも角にもしらを切るに限る。
｢そ、ういえば、前から気になってたんですけど、クビヅカノヤシロってなんですか？｣
我ながら白々しい嘘だ。さっき行ってきた神社。ソクジンと呼ばれる神が居るところ。
そして、なによりも、ユンギさんにソクジンの話題はタブー。
ジミンさんの言葉をそのまんま考えると、白々しい嘘でも吐くしかない。
私の問いに、一瞬だけ足を止めたユンギさん。振り返って顔でも見られたらどうしようと冷や冷やしたけど、すぐにまた歩き出した。
｢……とりあえず、お前は神社には近づくな｣
｢絶対近づきません｣
｢……？｣
即答する私に一瞬だけ戸惑った様子のユンギさん。
私はあんな事があって、また首塚の社に行こうとは思わない。私は今まで霊感とか心霊とか、そういうものには無縁の人生だったんだから！
｢私、霊とか神とか信じてないもん｣
それは、信じたくない。つまりは怖いという言葉の裏返しだったけれど、ユンギさんには別の意味に聞こえたらしい。
背中越しに小さく笑う声が少しだけ聞こえた。
｢……なら、いい｣
スタスタと家の中に消えていったユンギさんの背中を紬越しに見つめる。
あの、骨と皮しかなさそうなガリガリのユンギさんの背中には何があるっていうんだろう。
まるで、神様の証でもあるかのようにソクジンという神様は言っていたけれど。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
