無口な彼女_9 [hiromitsu.k]

Chapter416 ページ35

『今度は僕から聞くけど
ここにいるみんなは
人気の売れっ子作家と無名の新人作家
どちらの担当になりたい？』









「それはやはり人気作家の・・・」








『ん、それが当然の答えだろうな
僕も入社した頃は
少しでも早く人気作家の
担当になって世の中に
たくさんのヒット作を
出してやるんだって思てった・・・
それがこの仕事の１番の醍醐味で
何よりのやりがいに繋がるだろうって』









『だから、入社して
初めて人気作家の担当にって
言われた時は嬉しかったなぁ
あ、ちなみに僕が初めて担当した
メジャー作家さんからは
ただ原稿受け取って
会社に運ぶだけのガキの使いで
給料もらってんだから
お前の仕事は楽でいいよなって言われたな』








・・・。









『おいおいーそんな顔するなよ
もっと酷い事、理不尽な事
言ってくる作家なんて
ゴロゴロいるんだから(笑)』









『・・・と、言う僕も当時は
やっと人気作家の担当になれて
浮足立った中の出来事だったから
ショックだし悔しさもあった
でも・・・よく考えれば
本当にその通りでもあったんだよ
その時は僕じゃなくても
出来る仕事しかしてなかった』









『で、それから少しして
担当したのは無名の新人作家
しかも、もの凄い口下手で
感情を出すのが苦手な人で
打ち合わせでは一度も
目も合わせてくれないし
何回会っても毎回はじめまして
みたいな感じで』









『無名の新人作家とはいえ
その先生も次々にヒット作だして
あっと言う間に売れっ子になったんだけど
それからもその先生との距離は
驚くくらい全然縮まらなかった(笑)』









『でもある時
作品の表紙のデザインで
社内で意見が分かれたことがあって
とはいっても僕はＡのデザイン
それ以外の全員はＢのデザインがいいとなって
ほぼＢのデザインに決まりかけたんだけど』






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マスオ「最後に表紙のデザインは

こちらになったので確認お願いします」









A「・・・。」









マスオ「先生？」









A「・・・この前と

・・・違うなって」









マスオ「あぁ実は先日の会議で

こちらの表紙でいこうと変更になりまして

僕的には先日、見てもらったデザインが

いいと思ったんですけどね

なんせ僕１人以外はあちらがいいって(笑)」









A「・・・そうなんですか」









マスオ「はい、では

問題なければ、今日はこれで」

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