無口な彼女_9 [hiromitsu.k]

Chapter415 ページ34

A「・・・。」









アラタ「実は・・・
正式な辞令が出る前に
マスオさんに異動の打診があってさ
ちょうどその頃Aちゃんが
作家をやめたいって言ってた時で」








アラタ「俺は・・・勝手に
もしかしたら何かそういう
タイミングなのかもなって
マスオさんが担当業務から外れて
Aちゃんが作家をやめてって」








アラタ「でも少ししてマスオさんが
昇進の話を断るらしいって噂が
偶然、耳に入ってきたんだよ」









A「・・・それは、私が」









アラタ「ごめんねAちゃん
俺もそう思った部分がある
このままAちゃんの担当を
外れるのが心配なのかなって
だから思わず本人に聞いたんだよね
そしたら・・・」








アラタ「野原もまだまだだな
って鼻で笑われてさ
簡単に担当を引き継いでお前に
磯谷先生の新作を
持っていかれるのが嫌なだけだよって」







A「なぜかわかんないんですけど
マスオさん・・・
私がまた新作を書くようになるって
思ってるみたいで」








アラタ「それはきっと
ずっとAちゃんを
担当してきたマスオさんだから
言えるんだと思う」









アラタ「去年マスオさんと組んで
新人研修を担当した事があったんだけど
そこでの質疑応答でて、、、」



_______________






「マスオさんにとって
作家さん達はどんな存在ですか？」







『どんな存在・・・
んーしいていうなら
“片思いの相手“が近いのかもな
相手が喜ぶ事は何なのか
嫌だと思う事は何なのか
嬉しい事は？好きな事は？
どうしたら少しでも書きやすい
環境を作ってあげられるか
担当はそんな風に四六時中
作家の事を考えて過ごしてる
けれど相手がそれに応えてくれるかは
わからない・・・』









「では、担当として
やりがいを感じるのは
担当作家が書いた作品が
ヒットした時ですか？」








『んー・・・やりがいを
感じる瞬間は
それ以外にもいくつもある

考えた企画が通って
打ち合わせがまとまった時

原稿をもらった時

印刷されて書店に並んで
実際に手に取る状態になった時

そしてもちろんヒットした時にも
自分がその作品に携われた事を
心から誇りに思えるし

人気作家の担当になれば
その瞬間を度々味わう事になるし
僕自身、その経験を
幾度となく担当する先生達に
にさせてもらったし
もちろんその度やりがいも感じてきた』

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