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ひとふり 。 ページ1

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ずっとずっと 、俺の片想い 。
... そう 、片想いで良かったんだ。

ずーっとウジウジして 、いつもみたいに時間経って自然消滅。

それで良かったんだ 。



なのに 。


目の前で雨纏う君を捉えてしまったから。

その雨が、否が応でもウェディングベールか何かに見えて。




彼女は雨の精霊? 水の妖精?

... 例えるとしてもそんな陳腐なモノじゃなくて。
もっとこう、艶やかで 華やかで __ 。

いや、俺気持ち悪い 。


でも、そうだな。

やっぱり ” 雨纏う花嫁 ” かな。



我ながら少し寒いけど
その表現が似合うと思った。

その雨はベール、水溜りは鏡の教会。
たとえ雷が鳴っても、雲が厚くなっても。

全ては貴女を祝うモノなんだろうな。





June bride ... 六月の花嫁。


どんよりとした気候の中 、一際異彩を放つ 変わった色の紫陽花に手を添える貴女は 。
そう、まるで。



「 高峯、くん 」



なんてくだらない事を考えていれば振り返る貴女 、

え 。まじ ?




「 センパイ、 」
「 いま帰りかい? 」

「 ッス 。」

「 ほう、可愛い折り畳み傘ですわね? 」



揶揄うように近づいて来て 、傘からぶら下がった ナスがモチーフの其れを つんってつつく。

何時も振り撒かれてる笑顔が 、今はきっと俺だけの 。
いや、やっぱ気持ち悪いよね 。


でもでも 、それほど愛しい彼女 。

隣に並ぶとかきっと、綺麗過ぎて 。鬱になるかもだけど 。




__ なんだか離れたくなかったし 、このぐらぐら揺らぐ脆い空間を壊したくもなかった。




.

ふたふり 。→



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作者名:Ive。 | 作成日時:2017年6月24日 20時

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