3-03 読めない子 ページ3
イチ『千絵、まだある、オレ取る』
そう言うと、いっちゃんは袋ごと咥えて、私の手の中に中身を出した。
軽い音を立てて、二枚の木札が出て来た。
千絵「…何だこれ。
イタチと鬼鮫の名前が書いてある」
さっちゃんが、スルスルと私を地上に降ろす。
二人にその木札を渡すと、イタチは受け取りながら、ああ…、と零した。
イタチ「里に入り、上層部に会う為の免罪符だ」
鬼鮫「後で届けるとリーダーが言っていましたね」
千絵「何で私のはないんだ…仲間外れか…？」
イタチは、ヨシヨシと私の頭を撫でる。
イタチ「ここは鬼鮫と二人で行った方がいいと、リーダーが判断したのだろう」
千絵「……なら私が外から壁なり屋敷なりぶっ壊して、そいつをいっちゃんとかに連れて来させれば万事丸く収まるんじゃないのか？
若しくは私が捕まえてくるとか！」
イタチ「…拐ってどうする」
イタチ(こちらが情報提供してもらう立場だと理解していない事を、リーダーは見抜いていたのか…)
鬼鮫「ククク、状況把握出来ない人間は、こういった仕事には向いてませんねぇ」
千絵「さっちゃん、やっぱし潰そうか…」
.
暁アジト____
ペイン「小南、なぜ千絵にも札を渡さなかった」
鷲を見送りながら、小南が振り返る。
小南「…あの子、考えている様で考えていない。
そして考えていない様で、考えている。
つまり、全く行動が読めない」
ペイン「草隠れからの情報収集は重要な任務…。
イレギュラーな行動に出て、手に負えなくなる可能性を無くす為、千絵を里入れさせないと言う訳か」
小南は肩を竦ませ、
小南「後が少し怖いけど」
千絵が文句を言いながら、駄々をこねている絵が浮かんで、思わず苦笑いをした。
ペインは少なからず驚いた。
小南は表情が少ない。
しかし千絵が現れてから、本人は気付いていないようだが感情が表に出て来ている。
(これが千絵の力か…。
イタチがほだされたのも、納得がいく)
____
.
イタチ「俺も千絵を一人にしたくはない。
だが無理なものは無理だ」
地面から土煙が上がっている道の先に、鬼鮫が立って歩き出そうとしていた。
鬼鮫「お遊びはこれくらいにしないと、約束の時刻に間に合わなくなりますよ、イタチさん」
イタチ「分かっている。
先に行け、すぐに追いつく」
鬼鮫は溜息をつくと、姿が消えた。
イタチは私の両肩に手を置くと、
イタチ「里の裏手にいろ。
あの里は今…戦の最中だ」
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ユカ(プロフ) - 月夜 黒輝さん» ありがとうございます。亀ペースですが、頑張ります(^^) (2018年9月17日 18時) (
レス) id: ceb43f3a9d (このIDを非表示/違反報告)
月夜 黒輝 - 凄いです！面白かったのでこれからも頑張って下さい！(`･ ω･´)ゞﾋﾞｼｯ!! (2018年9月15日 12時) (レス) id: 9616d08dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユカ | 作成日時：2017年7月27日 0時
