3-16 新入り ページ16
部屋を見回してもなんら変化はなかった。
「え、なんでイタチは分かるんだ?」
「見えなかったのか。
一瞬でこの宿ごと飲み込まれた」
(なんですと…?)
どうしてそんなに落ち着いてるんだ、と問えば、千絵のチカラだから焦る必要もないだろうとシレッと答えた。
そんな事を言われ、実はぷちパニックを起こしていたのだがそれがバレてはまずいと思い、うんまぁそうだな、と答えておいた。
しかし腹の中と言われても、生々しい感じもないし匂いもないためリアリティがない。
「ならば、著しく重力を変えられている事も千絵は感じていないのか?」
「うむ、さっぱりだな」
両手を広げて分かりませんアピールをしていると、イタチが手にしている忍刀を私の目線まで持ち上げて離した。
重力に従って地に落ちる、が、それが畳にめり込んだ。
「え"」
「ふむ、約9.81 m/s2くらいか…」
(いやいや、イタチどうやって計算した?!
てかその数字って、地球の重力値じゃん)
「って事は、倍の重力が働いていると言う事か。
実感ないから分からんけど。
ふむふむ、はっちゃん達に飲み込まれると消えると言う理屈は、実はブラックホールだったりするのかもな」
そこまで言ってはたと気づく。
「って、それマズくね?!
私は死なないから良いけど、このままここにいたらイタチ潰されるんじゃね?!
ぅおいっ!
はっちゃん出して!
ぺってしなさいっ!!」
『何を言ってる。
俺はここだろうが。
そもそも何で俺なんだ』
両手を天高く突き上げて猛抗議しているところに、横から低音ボイスが聞こえてきた。
言われてそちらを振り向くと、確かにはっちゃんの大きくて呆れた様な目があった。
「ムムム?
飲み込むのが十八番のはっちゃんじゃ無いとすると…」
"をい!"というはっちゃんの声はこの際無視して、首を傾げる。
「他の二人はこう言うタイプじゃないし…。
ここに来て新しい奴が誕生したのか?
ったくもー、順番通りに人格形成してってくれればこんな事にはならんのに!」
"なんでランダム設定なんだ!"と千絵が腕を組んで憤っていると、突然笑い声が響いてきた。
『あはははー。
初めましてだね、千絵ちゃん』
「千絵ちゃん…」
千絵が若干呆気にとられているのをガン無視し、ニューフェイスくんは勝手に話し始めた。
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ユカ(プロフ) - 月夜 黒輝さん» ありがとうございます。亀ペースですが、頑張ります(^^) (2018年9月17日 18時) (レス) id: ceb43f3a9d (このIDを非表示/違反報告)
月夜 黒輝 - 凄いです!面白かったのでこれからも頑張って下さい!(`・ ω・´)ゞビシッ!! (2018年9月15日 12時) (レス) id: 9616d08dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユカ | 作成日時:2017年7月27日 0時