3-15 悋気 ページ15
私は窓際に追い詰められていた。
イタチは私を囲う様に窓に両手をつき、逃げ道を塞ぐように立ちはだかった。
初めはふざけているのかと思っていたのだが、イタチの目を見ると、どうやらそうではないらしい。
「イタチ、落ちつけ、な?
落ち着いて話し合えば、この世から争いはなくなるって、学校の先生も言ってたし!」
「……」
「無言はやめてくれ!
一番怖い!」
そう訴えると、イタチが口を開いた。
「なぜ面を取っている」
「……はい?」
「まだ外す必要はないだろう。
それとも…ああそうか」
スッと目を細める。
「鬼鮫か?」
イタチの言葉が理解できない。
目を瞬かせ、眉根を寄せた。
「何でそこに鬼鮫が出てくるんだ。
鬼鮫は全く関係がないだろ。
…本当にどうしたんだ、イタチ。
お前らしくないぞ」
「…ああ、本当だな。
いつからこうなったんだ…俺は」
イタチは口の端を僅かに上げ、ツ…と私の頬を撫でると、そのまま後頭部に手を回して噛み付く様に私の口を塞いだ。
驚き瞬いている間にも、角度を変えながら何度も口付ける。
「っ、イ…イタチ…」
名を呼んだ途端、イタチの舌が忍び込んで私のそれに絡みつく。
いつもと違う雰囲気に戸惑い、イタチの胸を押し返そうとすると、逆にその手を取られて畳に押し倒された。
イタチと額を付き合わせると、その目に困惑した私が映っていた。
「千絵に出会う前は、迷う事も心が乱れることもなかった。
コントロール出来ていたんだ。
…なのに些細な事で惑い、狂う」
「イタチ…」
そこには甘い雰囲気など皆無で、ただイタチが眉根を寄せて苦しそうにしていた。
こんな時、恋人同士ならどうするのだろう。
考えあぐねていると、突然イタチが私から飛び退いた。
そして続く轟音。
『千絵に酷いコトする、ダメ。
オレ、許さナイ』
「いっちゃん?!」
驚いていっちゃんを見ると、イタチに噛み付く様にして止まっていた。
牙はイタチに届いていない。
よく見れば、イタチは私が預けていた忍刀にチャクラを流し、鞘のままいっちゃんの口につっかえ棒の様に突き立てていた。
ほっと息を吐きつつ、部屋に異変がないことに首を傾げる。
イタチは鞘でいっちゃんを弾いて自由になると、腕を組んでグルリと部屋を見回した。
「驚いたな。
千絵の指示なしに、勝手に判断するまでになったのか。
しかもここは、もう一匹の奴の腹のなか…とは良く出来たものだ」
「は、腹のなか?」
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ユカ(プロフ) - 月夜 黒輝さん» ありがとうございます。亀ペースですが、頑張ります(^^) (2018年9月17日 18時) (レス) id: ceb43f3a9d (このIDを非表示/違反報告)
月夜 黒輝 - 凄いです!面白かったのでこれからも頑張って下さい!(`・ ω・´)ゞビシッ!! (2018年9月15日 12時) (レス) id: 9616d08dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユカ | 作成日時:2017年7月27日 0時