3-13 お楽しみは子の刻以降、って意味不明…? ページ13
出発した初日の宿での事。
「お客様、大変申し訳ありませんが…そのようなお面の類は当館ではご遠慮頂いております。
ご宿泊されるのであれば、外して頂きませんと…」
「これは私の顔と一体化しているので無理です。
若しくは私の顔です」
「フフフ…嘘ですよね」
無理やり突っぱねようとしたが、宿の人の眉間にはシワが寄り、笑っているのに何故か怒っているようだった。
「むぅ…私の面はダメで、イタチ達は良いのか?
…って、いつの間にか服が変わってる!
ずっ、狡いぞ!」
振り向くと、イタチと鬼鮫は小南さんが準備していたお供…護衛用の黒い着物に変わっていた。
(この宿に入るまでは暁の衣装だったのに、やっぱり本物の忍は侮れないな。
…それにしてもイタチ、何着てもカッコいいなぁー)
「でへへへ」
そんな事を思いながら、へらっと笑ってイタチを見つめると、イタチがスッと目を細め、口元に緩く弧を描いた。
「千絵、口調が元に戻ってるぞ」
イタチに突っ込まれ、うっ、と手で口を覆う。
鬼鮫から嫌味が降ってくるだろうと思っていると、予想外の言葉が聞こえてきた。
「…実は、彼女の顔には見られたくない傷がありましてね。
申し訳ないのですが、今回だけ配慮いただけませんかねぇ」
「え、鬼鮫…?」
驚いて鬼鮫を見上げると、小さな目を細めて(たぶん)優しく笑った。
(なんか鬼鮫がイケメンなんですけど?!)
「それは大変失礼致しました。
ではこちら、其々のお部屋の鍵となっております」
鬼鮫の言葉に宿の人はあっさりと引き下がり、鍵を私の手に預けると、何故かイタチの耳にこそっと囁いた。
(あ、近い!)
「子の刻以降は混浴となっております。
心行くまでお楽しみ下さい」
「……」
宿の人はフッと微笑むと、チェックインカウンターへと消えた。
.
鍵を手で弄びながら部屋へと移動する途中、イタチに問いかける。
「あの、心行くまでお楽しみ下さい…って何だと思う?」
イタチを見ると私の声が届いていないのか、眉根を寄せて鬼鮫を睨むようにして見ていた。
(うむ…何だか出立した時から、イタチの様子がおかしい気がする)
クイクイ…とイタチの袖を引っ張ると、視線が合った。
「どうした」
「(それはコッチのセリフ)
いや……
んと、今日はこの後する事はないんだよな?
あ、でもイタチ達は晩ご飯を食べに出かけるのか。
そっか、独りはつまらんなぁ……」
自然と視線が下がった。
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ユカ(プロフ) - 月夜 黒輝さん» ありがとうございます。亀ペースですが、頑張ります(^^) (2018年9月17日 18時) (レス) id: ceb43f3a9d (このIDを非表示/違反報告)
月夜 黒輝 - 凄いです!面白かったのでこれからも頑張って下さい!(`・ ω・´)ゞビシッ!! (2018年9月15日 12時) (レス) id: 9616d08dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユカ | 作成日時:2017年7月27日 0時