【不死川実弥】風柱、少女を拾う。

じゅうよん ページ14

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「たんたん！たんじろ！たたんのたん！」


ご機嫌に歌うAの横で、不死川は機嫌を悪そうにしながら鼻を鳴らした。

どうにも、Aが「炭治郎の歌」しか歌わないのが気に食わないのだ。


「おい、実弥の歌はねェのか」


「ない！」


ニコニコと無邪気な笑顔を浮かべながら即答するAに、不死川は心の中で炭治郎を一発殴った。


(俺が居ねェ間に仲良くなりやがって………)


不死川はその怒りを鍛錬の時に発散していた。
が、積もっていくイライラはそれでは無くならないほどに大きくなっていく。


「しゃねみ！おこ？」


「……怒ってねェよ」


「怒っている」を「おこ」と省略する癖のあるAは、眉を少し下げながら不死川の顔を覗き込んだ。

眉間にシワが寄っている事を確認し、Aはトコトコと台所へ向かう。


追いかける気にもならなかった不死川は、再び竹刀を持ち鍛錬を始めた。




そして、しばらく時が過ぎ、Aがひょこっと訓練場に現れた。

しかしその手には、餡子のようなものが沢山ついている。


「さねみ！おあぎ！」


「あ"ァ？」


Aは両手を開き、それを不死川に差し出した。
言葉通りおはぎが乗っている。

正直その見た目は不格好で、"餅に餡子を塗りたぐっただけ"だ。


しかし、不死川は何も言わずにそれを口に運ぶ。




「うめぇ」


「んめぇ？」


嬉しそうに聞き返したAは、そのままルンルン気分でどこかへ行ってしまった。


「さねみんみん、おはぎ好き！さねみんみんみんおはぎ好き！Aはずぅっとさねみ好き！」


遠くから、陽気な歌声が聞こえてくる。


不死川は、ぎゅっと自分の着物の心臓の辺りのを握りしめた。





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実弥さんの心→(しんどい……)

じゅうご→←じゅうさん

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