アラニュエの森 (ページ5)

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＊たすけないとページ5

「うわ、あれだ」

空に浮き上がると、どこにソレが落ちてきたのかはすぐ分かった。

家からは歩いて五分程度の、森の中だ。

元々この家も森の中にあり、学園や街とは距離があるため、街の人は気づいていないだろう。

サトは顔をしかめて、ゆっくりと近づいていく。

「なにあれ、あんなの初めて見たよサトちゃん」

マサは目を丸くしながら、サトに並んで飛んでいる。

「僕も初めて……いや、どっかで見たことあるな、あれ」

巨大な白色の物体の固まりが落ちて、しばらくその勢いのまま滑ったのだろうか。

近くの木が倒れてしまっている。

バキバキ、という音はこれだったらしい。

「最近何かの本で見た。なんだっけな、マサは知らない？」
「えぇ、サトちゃんがわからないものは俺はわかんないよ」

うーん、と考え込んでいたサトだが、考えるのを諦めたのか、そのままゆっくりと物体に向かって降りていく。

「わわ、待ってよサトちゃん」

慌ててマサも後を追う。

とん、と地面に降りたサトは、落ちてきた物体を見て首を傾げる。

「これ、乗り物？」
「乗り物？魔力はなさそうだけど」

続いて降りてきたマサも、首を傾げる。

「だよね、魔力はないよね。おかしいなあ」

ぐるっと周りを回ってみるが、思った以上に大きい。

「ねね、サトちゃん！ここ、入り口みたいなのがあるよ！」

マサが呼ぶ声に、慌てて駆け寄るサト。

確かに、切れ目がありドアのようになっている。

「本当だ。開けてみる？」
「え、大丈夫かな」
「なんとかなるでしょ。開け！」

サトがまんまの呪文を唱えると、ゆっくりドアが開いていく。

「なんか中の空気が違う」

マサが顔をしかめて、咳き込み出す。

「大丈夫？顔の周り覆っておきな」
「うん……ヘルム」

マサが目には見えない空気の膜を作ったのを確認してから、サトはそっと中を覗く。

「何かある？」
「ちょっと待って、探ってみる」

壁に手を当てて目を閉じたサト。

サトの手が淡い光を放ち、物体全体が光り出す。

ハッと目を見開いたサト。

「人がいる」
「えっ、人？」
「三人いるみたい。まだ生きてる、助けるよ」
「えっ、ちょっ」

手に持っていた箒で浮き上がり、サッと中に飛んで入ってしまったサト。

マサも慌てて後を追う。

「わ、すごい……なにこれ……」

内部は何かよくわからないものがビッシリと並んでいる。

目を丸くしているマサの隣で、サトは周りを見回す。

「いた。人だ」

ふわり、その人の側に降り立つ。