沖田総悟は外法に成功したらしい2【銀魂】

第53訓 ページ8

真っ暗闇

_______あの日も、月が無くて暗い夜だった

誰も居ない

_______私のことなんて、お母さんは覚えていなかった

ケータイは落とすといけないから、入り口で預けて来たし…

_______電話しても誰も私なんて知らなかった

人の気配が無い

_______私は、独りぼっち


私「あ、あ…！い、いやっ…！」


あの日の記憶が蘇る
世界から、追い出された日
唯一の家族から、親友から、忘れられた日


私「た、たす…け…て」


1人は嫌
1人は寂しい
1人は…怖い

もう、誰にも、忘れられたく無い

神楽ちゃんが帰ってこないのは、私を忘れてしまったからなんじゃないか…？
ひゅうひゅうと喉が鳴って、苦しい



沖田「A…！！」


何でここにいるの
とか
仕事はどうしたの
とか
聞きたいことは有ったけど

そんなことよりも
名前で呼んでもらえたことの喜びが大きくて

あぁ、沖田さんは私のことを忘れてないんだ

ひゅうひゅうと空回る呼吸に視界が歪む
水の中じゃ無いのに、まるで溺れてるみたいだ

上手く息が出来ない私に沖田さんは…






沖田さんは、躊躇いなくキスをした

至近距離の赤い瞳が、涙越しに歪んで見える
それは、あの夜の星空にも似た…

過呼吸が落ち着いた頃
色々な疲れが一気に訪れた私は暗闇の中に意識を手放した

ドクリ

心臓が、誇張したのは…気のせい…？

第54訓→←第52訓

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す