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「何を悩んでるの?A」

『わ、オリバー!』

「久しぶり。元気だった?」



声を掛けてきたのはオリバーだった

オリバーは昔なじみで、海外にいた頃に近くに住んでた男の子だった
家族ぐるみで仲が良くて、誰かの誕生日祝いもハロウィンも、
あとはホリデーなんかも一緒に過ごすこともあったかな?

何年かして引っ越ししてから会うことはなくなったけど、
事あるごとにグリーティングカードを送りあったりする仲だった


日本に来てからはカードのやり取りもなくなっちゃったけど、
まさかこんなところで再会するとは思ってなくて。
ちょうど1年前くらいに事務所で「もしかしてA?」って声を掛けられた時は声も出なかったくらい。




『うん』

「本当に?」

『・・・うん』

「ま、いいや。言えるようになったら言って。わかった?」

『うん、ありがとオリバー』




オリバーの右腕が肩に回って、肩を寄せてサイドハグをされる

親友のような間柄だから出来るハグだってわかる。
嫌な気持ちもないし、安心する。

それと同時に加賀美さんとハグした時の違いを感じてしまって、
自分の心の中にあるものの存在を認めてしまった気がした。




「あ、そういえばお兄さん。子ども産まれるの?」

『そう、そうなの!9月くらいになるよ〜って言ってた!』

「おめでとう。産まれる時は向こう帰るの?すぐ会いたいでしょ」

『せっかくだし帰ろうと思ってるよ。オリバーも一緒に行く?』

「いやいや、家族水入らずで過ごしてよ。
 僕はプレゼント用意するから帰る時持っていって」

『うん、わかった。 ねぇ、オリバー』

「ん?」

『言えるようになったらちゃんと言う。ありがとう。』



今度はわたしからオリバーにハグをする。
友達と交わすような、軽いハグ。
言葉にしなくても昔なじみのオリバーならわかってくれる。



「じゃあ、プレゼント買ったら連絡するね」

『うん、またね』



飲み終わった缶コーヒーをゴミ箱に捨てて、打ち合わせがある会議室に向かった。
久しぶりにオリバーに会った嬉しさと安心感で、
外で何かがチカチカと光ったことも誰かに見られていたこともわたしは気づかなかった。
 

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作者名: | 作成日時:2022年9月23日 18時

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