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・・・
『おつかれさまでした〜』
打ち合わせを終えて自宅へ帰ろうとスタジオを後にした
日はもう沈んでたけど、湿気が残る暑さが肌にまとわりついた
(今日は帰ったら配信できそうだな〜)
通りに出る手前で、ガードレールに腰掛けた人影を見つけた
(加賀美さんだ・・・)
手元のスマホを見ていて、まだこちらには気づいていない
誰かを待ってるのかな、わたしかな、わたしじゃないか。
そんな押し問答みたいなことを頭の中で繰り返していると
加賀美さんが顔を上げたのがわかった
「峯邑さん」
『あ、はい』
「おつかれさまです。今日はもう終わりですか？」
『はい、帰るところです』
「よかった、待ってたんです。あなたのこと」
またあの日みたいな瞳で見つめられて、胸が苦しくなる
まだ認めたくなかったのに、好きだって認めざるを得ないくらいあなたに触れてみたいって思ってる
『どうして待ってたんですか、あれ、もしかして何か返信忘れてますか！？』
「いえ、それは大丈夫です。ちょっと、お話したいことが、あって」
『話？』
「はい。えーと、とりあえず、駅までどうですか？ご一緒に」
『...はい、ぜひ』
その場から足を進めて、肩を並べて駅まで向かう
話したいことがあったから待ってたってその言葉に期待してしまう自分がいた
『話したいことって、何です？』
「あ、え〜、、とですね。あ、昨日あげてた曲聞きましたよ」
『歌ってみたですか？ありがとうございます』
「以前、甲斐田さんと3人で食事に行った際に相談されたじゃないですか。あの時に聞かせてもらった曲じゃないなと思ったんですが」
『そうなんですよ。気持ちを乗せるのがやっぱり難しくて』
「でも、昨日の曲も、素敵だと思いましたけどね」
『ほんとですか？好きな曲なので嬉しいです。
「・・・なるほど。実は、選曲はちょっと意外だと思いました」
『ふふ、意外でした？そういう部分もあるですよ、私も』
「峯邑さんはいつもまっすぐ立っていて、芯があって。
ちょっとのことじゃへこたれなくて・・・
強い、というよりも強かって言葉が似合うなと思ってます」
『したたか ですか。
「、あの」
駅前の喧騒の手前で、手を取られる
「今度の日曜、空いてますか
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作者名：雨 | 作成日時：2022年9月23日 18時
