さとしのこと（気象系病系） (ページ42)

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優しくてずるいページ42

ｶﾗｶﾗ・・

翔「ニノ」

ニノ「あ、翔ちゃんおかえり」

ゲームから目を離さずに返事だけするニノ。

翔「智君、高熱だしてた・・・」

ニノ「え？！」

耳を疑い、すぐに目線を翔の顔へ上げる。

翔「今処置されてるとこ。かなり意識朦朧としてるよ・・・」

ベッドを飛び出そうとするニノ。

翔「待てって、今行っても外で待つしかないから。」

すぐに止める翔。

ニノ「でも・・・！」

翔「ここで待とう。ね？」

うなだれてベッドに座る。

翔「俺が行ったときはもう既に熱高くてさ。
朝の検診で引っ掛からなかったのかなってくらい・・・」

ニノ「智、前も急に熱上がったことあって、ｶﾞﾀｶﾞﾀ震えちゃってて・・・」

あの時の光景が脳裏に甦る。

ニノ「やっぱり廊下で待つね。」

翔「じゃあ、俺もいく。」

ニノ「うん。」

ここ最近、自力で起き上がれず、
ずっとリクライニングを起こした状態のベッドにもたれて夜も過ごしている智。

体を起こしていた方が胸に負担はかからないらしいが、
病状が深刻なだけにちゃんと休めているのかと心配になる。

会えばあの可愛い笑顔でﾌﾆｬﾌﾆｬと笑ってくれるが、
それが逆にニノの心を痛めた。

廊下のベンチに座り、看護師が出てくるのを待つ２人。

翔「ニノ、大丈夫？」

翔に言われ、自分の手が震えていることに気づく。

ニノ「大丈夫・・・なにビビってんだろうね俺？」

翔「無理すんな？
なんだかんだ智君とずっと一緒にいんのはニノなんだから。
もっと素直になっていいよ？」

ニノ「しょ、翔ちゃんには、言われたくないですっ」

翔「ﾊﾊﾊ、俺が人のこと頼んないから？」

笑う翔。

ニノ「そーですよ・・・」

翔から自分の弱いとこをつつかれて少し膨れ、
サンダルを脱いで、ベンチの上で膝を抱え込む。

翔「ニノこそ、もっと素直に人のこと頼ったら？
俺でよけりゃ支えんなるし。ね？」

どこまでも優しい翔。

ニノ「ずるいなぁ・・・」

勝手に出てくる涙のせいで抱えた膝に顔をうずめる。

ﾎﾟﾝﾎﾟﾝとニノの頭を撫でる翔。

その手があんまり優しくて、
柄にもなくｸﾞｽｸﾞｽと泣いてしまった。