翔の足 ページ43
いつも真っ青な智の顔は真っ赤になっていて。
目からは涙があふれていた。
鼻に酸素チューブをしていても苦しいらしく、呼吸が浅い。
智「ﾊｧ・・・ｱｧ・・・ﾊｧﾊｧ」
翔「うなされちゃってる・・・」
ニノ「ちょっと起こした方がいいかもな」
智の傍まで近づき、そっと声を掛けるニノ。
ニノ「智？大丈夫だよ？俺ここにいるよ？」
智の熱くなった手を握る。
智「ﾊｧﾊｧ・・・ﾝﾝｯ・・・」
ニノ「智？わかる？」
智「ﾊｧｯ」
ニノ「智っ」
智「ﾊｧ・・・ニ・・・ノ・・・？ﾊｧﾊｧ」
焦点が定まらないまま、
ゆっくりと首を左右に振り、
かすれた声でニノの名前を呼ぶ智。
ニノ「そーだよ、こっちだよ智。
もうすぐ薬効いてくるって先生言ってたからね？」
紺色の智のタオルでそっと汗をふいてやる。
翔「智くん・・・しんどいね・・・」
少し離れたところで見守る翔。
智「ﾝｯ！！ｺﾞﾎｺﾞﾎｺﾞﾎｯ」
胸をｷﾞｭｯと抑えて咳込む智。
智「ｺﾞﾎｺﾞﾎｯﾊｧｯﾊｧｯﾊｧｯ」
智の胸を抑える手を掴むと、
力がかなり強い。
ニノ「ちょっ、そんな強く抑えたらダメだってっ」
智「ｺﾞﾎｺﾞﾎｺﾞﾎｯ・・・ｲ、ﾀ・・・」
翔「智君、胸痛いの？」
呼吸するのに精一杯な智。
こっちの声が届いているのかわからない。
ニノ「智、看護師さん呼ぶね？」
智「ﾊｧｯﾊｧｯﾊｧｯ・・・ｲﾀ・・ｲ・ｯｺﾞﾎｺﾞﾎｺﾞﾎｯ」
とてつもなく苦しそうでどうにもしてやれず、
ナースコールを押すニノ。
再び廊下で待つ。
ニノ「翔ちゃん、体無理しちゃダメよ？部屋で寝てよ？」
翔の部屋へ戻ることにした２人。
ベッドに入る時にかなり苦労して車椅子から移った翔。
ニノ「ね、翔ちゃん、足・・・」
翔「うん、もぉほとんど利かないんだよ。」
ニノ「・・・そうなの・・・？痛みは？」
翔「今は大丈夫。ごめんね？心配かけて。」
ニノ「ううん・・・」
翔「ニノ、智君のとこ行ってあげて？俺は大丈夫だからさ。」
ニノ「うん・・・またくるね。」
翔の部屋を出て智の部屋を目指すと、
数人の看護師が智の部屋から出てくるのが目に入った。
思わず早足になる。
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作者名：天の子 | 作成日時：2019年7月14日 14時
