車椅子 ページ34
翔「そっか、落ち着いてる？」
ニノ「うん。翔ちゃんは？転んだとこ大丈夫だった？」
翔「あー、骨いっちゃってたみたい。レントゲン撮られてさ、ヒビ入ってるって。」
そう言いながら、左腕のギプスを見せる。
ニノ「マジ？大丈夫なの！？」
翔「もうこれからは車椅子だってさ
。先生から『強く勧めます！』なんて言われて、ゴリ押しよ。
熱も上がるよなぁ・・・」
右腕で顔を覆う。
翔「俺、悔しいわ・・・」
涙を堪えているのが、痛いほど伝わってくる。
ニノ「翔ちゃん・・・約束してよ。」
翔「え・・・？」
ニノ「散歩するとき、俺が翔ちゃんの車椅子押すからね。
他のやつに押させんなよ？」
ﾊﾊｯと笑う翔。
翔「ｻﾝｷｭ・・・」
小さく呟く。
翌日。
朝の検診が終わり、ご飯も食べ、
暇になったところで二人のベンチへ行くニノ。
ボーッとするのもいいけど、隣にいつもの体温がない為、
なんとなく落ち着かなくてゲームをする。
自分のベッドでしてもよいが、やはりこっちの方が落ち着く。
ニノ「智、起きてるかなぁ〜」
そう思うものの、あんまり頻繁に顔を出しても迷惑だろうからと、
今日は少しだけ自重してみる。
だけどやっぱり、何をしてても気になる。
すぐに智が恋しくなってしまう。
そう思うと体は勝手に立ち上がり、智の部屋に向かってしまう。
ｶﾗｶﾗ・・
智のベッドを覗く。
リクライニングが上がっていて、目を閉じベッドにもたれている智がいた。
黙って近づき、ピョコンと上がった智の前髪の辺りを撫でる。
ゆっくりと目を開ける智。
ニノ「起きてた？」
ﾌﾆｬｯと笑ってｺｸﾝと頷く。
ニノ「体調どお？しんどくない？」
しばらく間があって。
また、ｺｸﾝと頷く。
ニノ「よかった。」
ふざけてｷﾞｭｯと智を抱き締める。
智「ﾌﾌｯ、ニノ、いたい。」
笑って弱々しく抵抗し、
その細い手でﾍﾟﾛﾝとニノの顔を撫でる。
ニノ「ﾝﾌﾌ」
その仕草がいちいちかわいくて、ずっと傍にいたい。
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作者名：天の子 | 作成日時：2019年7月14日 14時
