午前0時、アメリカーノに (ページ34)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:84,080 hit

一杯食わされるページ34

『な、ななんで…どうしてっ…』

「あははっ、なにその反応！まさかファーストキス？」

『違うけど…！』

「こんないい男をふるなんて許せないもん。だから他の男とキスする度、俺のこと思い出せばいいよ。」

『最低！』

「あーはいそうですよ～。最低で結構～。」

悪戯げに舌を出してジョンハンはそそくさと逃げて行った。

『ちょっと！待ちなさいよ！』

「やなこった！せいぜい痛い目みないように頑張んな！バーーーカ！」

『ユン・ジョンハン！！』

バカはどっちよ。どうしてキスなんか。
遠くなっていくジョンハンを見つめながら口元を押さえた。
私、ジョンハンとキスしちゃった。

疲れた。ずっと色々なことを考えっぱなしでいたし、最後なんて叫びまくっていたから体力が吸い取られた気がする。

『この住所近辺までお願いします。』

そんなに遠い距離じゃないけれど、歩く気力もなくてタクシーを拾った。

さっきのキスのことがずっと頭の中から抜けなくて、どうしたらいいのかわからない。これから先もジョンハンに会う可能性があるのに。もう彼の顔見て喋れないよ…。

こんなこと、ミンギュにバレたらなんて思われるだろう。
きっと"隙だらけの軽い女"って思われるに決まってる！口が裂けても言うなってジョンハンに連絡した方が……

"A、俺のこと忘れられないね"

あの悪魔のような微笑みのジョンハンが頭をよぎる。本当に、なにをしてても思い出す。
一杯食わされるとはまさにこのこと。

被害意識と罪悪感で押し潰されそうだ。