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お願い ページ33

自惚れるのもなんだが、なんとなくそうなんじゃないかとは思っていた。ジョンハンは至って真剣なのだ。

『とりあえず離してほしいな…』

「うん。」

いきなりすぎてビックリだ。
ジョンハンが、本当にそんな風に思ってくれていたなんて。
きっとミンギュだったらもっと…

あ、ダメだ。

結局ミンギュのことになってしまう。そうだ、やっぱりジョンハンじゃダメなんだ。誰といようが、ミンギュのことを考えちゃう。

そう思ったら急に萎えた。


するり、とジョンハンの腕を抜けて一歩後ろへ下がった。それを見てまた1歩、彼は私に詰め寄る。また下がって、また詰め寄って、堂々巡り。


『あのね、私…ジョンハンとは友だちでいたいというか、そういうふうに思っていなかったから…すみません。』

「なんで敬語になるの。」

一旦、距離を置きたいから。

「やっぱりあいつがいいの?」

『わからないです。』

「わからないってなんだよ。」

俯いた私の顔をのぞき込んでジョンハンはもう一度聞いてきた。

「俺と居る時、1度でもミンギュを思いださなかった、なんてことあるの?」

ないよ。
だけどそんなこと言えばジョンハンを傷つける。

「…いいよ。結局俺はミンギュに負けたってわけか。」

『ごめんなさい。』

「なんで謝るの?」

『いや…その…ごめんなさい。』

「もういいってば。」


ああ、どうしようもない。なんて中途半端なんだ私は。ミンギュとは喧嘩したままで、ジョンハンにはマトモに断ることすらできない。

「諦めるよ。Aのこと。」

『うん。』

「…なあ、最後に一つだけお願い聞いてくれない?」

『…。』

「そんな怪しい目で見るなよ!もう1回だけハグさせてくれたらキッパリと諦めるから。だめ?」

『まあ、ハグなら。』


とはいうものの、ぎこちなくてどう動けばいいのか分からず硬直する。
ジョンハンも「あー…えっと」と言いながら躊躇っていた。

「A、俺そんなにガン見されると…」

『じゃあどうしろと。』

「目、瞑っててほしい。」

『ん。』

言われた通り目を瞑って、早く終わらないかな、と思ったその時ようやく背中にジョンハンの手が回ってきた。

よかった、これで…ん?

それと、唇に柔らかい感触がした。
これは…まさか。
そっと目を開くと、案の定ジョンハンの顔が目の前にある。チュっとリップ音がしたと同時にジョンハンは離れて、ケラケラ笑いながらこう言うのだ。

「これでA、俺のこと忘れられないね。」

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作者名:ニカ | 作成日時:2017年2月26日 12時

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