【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -3章- いざイケブクロへ

182話 研究報告 ページ37

｢ンなのこれを調べればわかる事だろ。さっさと頼むわ理鶯｣


俺はパソコンの近くに行きモニターをバシバシ叩いてハッキングする様に促す
呼ばれた理鶯は短く返事をすると、椅子に座り慣れた手つきでキーボードを叩き始めた。リズム良くキーボードを叩く音を聞きながら、デスクトップに打ち込まれた英数字が沢山表示されていくのを俺と銃兎は机に寄りかかりながら見守る


｢これぐらいのモノなら直ぐに解除出来そうだ｣

｢おぉ流石だな｣


流石軍人。こういう時は頼りになるとつくづく思う
あっという間に解除出来た様でキーボードを叩く音がピタリと止んだ。画面と睨み合いをしていた理鶯はふぅ…と息をついた後俺の顔を見た


｢解除出来たがどれから見ていく？｣

｢どれつっても……。おぉこれとかいいんじゃねぇか？｣


俺にそれを聞くかと内心思いながらも画面を見やると《研究報告》と書かれたアイコンが目に入り何となく指をさす。｢了解した｣と理鶯がそれをクリックすると画面には何かの書類の様な物が表示された



1287号 本日の結果

周波数を調節し再度実験体に当てたが感情は消滅せず
周波数での消去は不可能と判断し次は針を用いり消去活動を行う


1288号 本日の結果

感情は消滅せず記憶に障害が起きる
このまま記憶を消せば感情が消える可能性が上がると思われる。引き続きこのやり方で消去活動を行う


1289号 本日の結果

作業中、突如として暴走を始め研究員全員を吹き飛ばす
死人はないが重傷者は数名
中には幻覚を訴える者も現れた




文からして実験体ってのはAの事だろう
この文を見るだけでもAに酷い仕打ちをしていた事が分かり怒りが沸いてくる……
コイツらも同じで銃兎は｢胸糞悪ぃ…｣と呟き、理鶯も表情には出さないがマウスを握る手に力が入っていた


｢日付では15年前の物だな｣

｢こんなのが続いてたのかよ……｣

｢他のフォルダには何がある？｣


別の研究報告のアイコンを開くと同じ様な事が書かれていた
“感情が消えない”“暴走”
この単語が殆どの報告書に書かれていた
何年分かは分からねぇがこの報告書は大量にあり、その中で1番始めに書かれた報告書を開ける



1号 本日の結果

実験体の能力は主に脳の直接攻撃と見られる
実験体の声で相手を操る事は可能だが思った様に命令は出来ない様子



｢この報告書は18年前に保存されている｣

｢18年前？つー事は最低でもAは18歳って事か？｣

｢そういう事になるな｣

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