1137話 昔のアニメ ページ7
懐かしい記憶。それがリフレインしながらAは合いの手を高らかに叫ぶ
そうだ、楽しく過ごしてた。地獄だった白い部屋の中に入る前に、パパやコウハイ、やっさん達と幸せに不自由なく過ごせてた。でもその先が思い出せない。何故自分がオートマタになったのか、あの時コウハイが最後に何を叫んでいたのか。
やきもきはするが、でも記憶が戻った事は喜ばしい事。ポジティブに考えて、Aはマラカスを振って歌い終えた一二三に歓声を掛けた
『一二三さんお疲れ様ですっ!!この曲楽しいですね!』
「でしょでしょ〜?Aも〜めっちゃ楽しんでくれててチョー嬉しかった!」
「初めて聞く筈なのに直ぐに覚えてくれたからびっくりしたよ」
『合いの手がカッコで書かれていましたし、独歩さんがアイコンタクトしてくれたので分かりやすかったです!』
「じゃあ次独歩っぽね〜。何歌う?」
「そうだな……。さっきはストレス発散だし、盛り上がる曲を探してみるか……」
悩みながら端末を手に取り曲を探す独歩。そんな彼の横にAはピタリとくっついて画面を覗き見る
急な接近と可愛らしげな仕草、腕同士が触れ感じる温度に独歩は思わず顔を赤くて固まる。視線は画面ではなくコテンと傾けられた後頭部で、表情が見えなくても興味津々なのだと愛おしさを感じた
「な…何か気になる曲とかある…?」
緊張しながら尋ねれば、振り返ってパチクリと大きな目を見せたA。覗き込んでいた姿勢と元々の身長差で、意図せず上目遣い。独歩は全身に力を入れて叫びたい気持ちを抑えた
『うーん…この歌詞検索、というのが気になります』
「歌詞検索?あぁこれはタイトルが分からなくても、記憶に残ってる歌詞を打ち込めば探してくれる機能だよ」
『成程……』
独歩の説明にAはハッとすると真剣な表情となり、慣れない手つきで端末の画面を触りだした
「Aさん…?何か記憶に残ってる曲があるの?」
「んー?どったの?」
ピッピッと並べられる言葉。気になった一二三もAとは反対側──独歩を挟み込むように密着し、端末の画面を覗き込んだ
本来ワンフレーズでも入れれば検索できるのだが、それを知らないAは必死に限界まで文字を打っていく。
その歌詞を音読すれば、馴染みがあると言いたげに口は動き2人は目を丸くした
「それって“機動部隊マキナ”じゃね!?」
「懐かしいな!結構昔のアニメだよAさん!?」
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作者名:刹那 | 作成日時:2024年3月4日 0時