1144話 それでも話すのが下手な彼女 ページ14
あまりのパニックに寂雷の助け舟も中途半端で沈んでしまった。聞く事に専念しようとした左馬刻も、突然の握手会というワードにツッコミを入れてしまい、銃兎と理鶯も顔を背けて噴き出していた
このままではもっとパニックになって報告どころじゃない。補足を独歩がすかさず入れてあげた
「実はフードコートで昼食を楽しんでいた時に、プライベートに踏み込んで来るKY達が一二三を連れてってしまって」
『独歩さん私情が入りまくった説明です…!!』
「ごめん…本音が……」
「この2人説明マトモに出来ねぇじゃねぇか」
「じゃあ代わりに俺っちが説明すんね!仔猫ちゃん達が俺ん所に集まっちゃって、中々2人の所に戻って来れなくなっちゃったんだよねー。だけど独歩が仔猫ちゃん達を整理させて、急遽握手会みたいな形で収めてくれてさ!完全にスタッフみたいで凄かったぜ!」
「流石独歩君だね。予想外のトラブルでも上手く立ち回るなんて、営業で培われたスキルだと思いますよ」
「あ、ありがとうございます…!!こういうのしか取り柄ないですから……。まぁでも当たり前にルールを破る自己中は居たので、スムーズに終われたかと言われれば微妙ですけど……」
『そ、そうです!そこです!』
何が?
全員の気持ちが揃い、危うく声が出そうになるのを耐えて視線をAへ注ぐ
『そのやり取りが昔の記憶と重なって思い出したんです!』
「握手会ですか?」
『違いますよ銃兎さんっ!────1人が暴れて皆が押さえたり、周りの人達が呆れたり笑ってたりしてた光景が、小さい頃に見た光景と似てたんです!』
「その記憶を詳しく話してくれるだろうか?」
『はい勿論!昔あの施設で週一のペースでカラオケ大会みたいな事をしてたんです。その時にパ──ハカセが、アニメを馬鹿にされて暴れてたんです!』
「やはり話が飛び過ぎて理解が……。一つずつ説明をお願いしても良いでしょうか?何故あの閉鎖空間でカラオケ大会を……?」
『確か………ハカセが開発に行き詰まったから、ストレス発散とインスピレーションを湧かせる為にやっさんが企画したんです』
「自由にやり過ぎだろ……。つーか機材あったのかよ」
『ハカセが一から作ってたらしいです』
「興味深い…。博士さんは天才的な技術者の様ですね」
「アニメを馬鹿にされて暴れるとは、博士はアニメ好きなのだろうか?」
『歌ってた曲もアニメでしたし、そうかと!』
「一郎と同類かよ…」
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作者名:刹那 | 作成日時:2024年3月4日 0時