1141話 キッチンは戦場 ページ11
理鶯のおかげであれからも喧嘩が続いたがキッチンに傷が着く事も、汚れることも無く料理が完成した。
しかし料理を好む理鶯にとって、神聖なキッチンの場で喧嘩は許し難いモノ。しかも友好関係を築いているとは言え他人のテリトリーだ。料理中は怒鳴らなかったが、終了し、テーブルへ並べた後に2人を床の上で正座させたのだった
｢さて左馬刻、銃兎、貴殿らは料理をなんだと思っている？｣
｢り、理鶯……そのすみません…｣
｢質問が聞こえなかったか？さっさと答えろ｣
｢ぐっ……お、俺は…普通にご飯を食べる為の行為って思ってる……｣
｢ほぅ？貴様らはその生半可な気持ちで戦場に立っていたのだな？｣
｢戦場って……｣
｢キッチンとは使用する人物の拘りが詰まった場所だ。その様な神聖の場を使わせて貰っている恩を忘れ、個人的な争いをするとは……。貴様らの短気な性格を矯正した方が良さそうだな｣
｢わ、悪いと思ってるって理鶯！！俺様少しはしゃいじまった！！｣
｢そうですね！とても反省しています！！｣
｢悪いな伊弉冉！！お前ントコのシマ荒らしちまってよ！！｣
｢ブハハッ！ザーヤクとポリが正座させられてやんの〜っ。記念に写真撮っとこ｣
｢聞いてンのかクソホストォ！！｣
｢左馬刻、反省の色が見られないぞ｣
｢わわわ悪かったって！！ライフル取り出すな！！｣
｢流石毒島さんだなぁ……俺もあの人みたいになりたい……｣
｢ふふ、興味深いね｣
確かに理鶯の言う通り、キッチンには一二三個人の拘りはある。荒らされたくない場所もあれば、使用前よりも綺麗にしたい程。しかし理鶯が気を遣ってくれている事は、料理を好む者として見ていれば深く伝わった。現にキッチンはピカピカ
なので一二三はこうして笑っているのだ
一歩離れて見守っているAはと言うと、戻ってきた過去の記憶を重ね合わせ穏やかに表情を緩ませている。
その視線に気付いた理鶯は、彼女の雰囲気が再び変わったと感じ目を丸くした。何も言わず一二三と独歩に視線を投げると、彼等は嬉しそうに笑った
そして遊んでいる中で彼女に何かが起きた事を、言葉を交わさずとも察する
こんな事をしてる場合では無い。理鶯はライフルを下ろして、しゅんと萎れた2人に言葉を掛ける
｢料理を手伝ってくれた事は感謝するが、次からは動物の様に暴れるのではなく知性のある行動をする事だ｣
｢は、はい……すみません…｣
｢わかった……｣
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作者名：刹那 | 作成日時：2024年3月4日 0時
