【ヒプマイ】オートマタ・イストリア -20章- 始まるDRB予選 (ページ42)

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1022話大層な出迎えページ42

｢｢カシラッ！！ご苦労様でごさいやすッッ！！！｣｣

左馬刻の運転の下、火貂組の屋敷に辿り着く。Aの体は緊張でガチガチなままだが、何とか車から降りて立派な門をくぐる。するとなんと、大勢の舎弟が左馬刻達が通る道を挟んで規律良く並び大層な出迎えをしてきた

流石は若頭と言うべきか、大袈裟と言うべきか。戸惑いが隠せない4人は目を見開き固まってしまう

そんな彼らの前に1人の男がコツコツ、と足音を鳴らしながら近づいていく

｢カシラ、オヤジが待っておられます｣

───廉貞だ。

彼は軽い会釈をすると、中に入るように手で促して屋敷の中に進み出した。まだ状況が飲み込みきれてないが、話を進めなければならず4人は廉貞の後に続く

廉貞の後ろに左馬刻とAが並び、そのまた後ろに理鶯と銃兎が並んで歩く。左馬刻はただ前を見て、Aはキョロキョロと落ち着かない。理鶯と銃兎は、いつ奇襲をかけられても反応出来る様に辺りを警戒している

左馬刻は勿論、銃兎がここに尋ねてくるのは日常茶飯事。理鶯は初めてではあるが、MTCのメンバーと知られているので舎弟達にとっては許容の範囲内。唯一異物なのはAのみ

怯えながらも絹糸のようにサラサラと揺らす青髪、汚れを知らぬ澄んだ青い瞳、簡単に折れてしまいそうな細い手足。全てがこの場に合わない存在。案内をする廉貞以外の舎弟の視線は全てAに注がれていた

好奇な目や奇異な目に晒されているAは心臓をバクバク鳴らし、上手く呼吸が出来なくなっていた。ソレに気付いた左馬刻は、舎弟達に聞こえないように小さく声を掛けた

｢A、大丈夫か？｣

『っ、あ、はい……。少し緊張してしまって……』

｢怖ェなら手を握るか？｣

強面な男達が立ち並ぶ光景は一般人なら恐ろしく思える。それを理解しているからこそ、左馬刻は優しく彼女に手を差し出す。しかしAはハッ、として首を横に振った

『いえ、私は“若頭の知り合い”として呼ばれたんです。怯えていたらダメですね……。左馬刻さんの顔に泥を塗ってしまいます』

力強い視線が左馬刻の目とかち合う。芯が強く感じられる面持ち。先程の様子は完全に消え失せ、別人と思える程の変化に左馬刻は息を呑んで彼女を見る

『だから大丈夫です。お気遣いありがとうございます』

フッ……と表情を柔らかくしたA。声も目も震えていない。左馬刻も釣られて笑みを零した

｢ハッ、それが言えンなら上等だわ｣