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1008話 後に陰で噂話、妄想話をされる警官 ページ28

─────再び場所は変わりヨコハマ警察署。



他のディビジョンに比べ治安の悪い此処は、警察署内でも騒がしい。パトロールに行く者や、事件の資料を纏める者、事件を調べる者等の喧騒に溢れ返る


銃兎もその1人だ


「入間さん、そろそろ昼ご飯にしてはどうです?もう1時過ぎてますよ」

「っ、そ、そうでしたか…。集中していて気付きませんでした。そうさせて頂きますね」


デスクに向かい淡々と事件の報告書を纏めていた銃兎は、後輩の1人の言葉にパソコンから漸く意識を取り戻す。ハッとしてパソコン画面の右下を見れば、午後1時29分。今まで空腹感が麻痺していたが、時間に気付くなり段々主張をしてきた

折角彼女の弁当があったのに。予定よりも遅れてしまった事に銃兎は心の中で舌打ちをする。後輩の言葉に甘え、引き出しに入れていたランチバックを取り出すなり立ち上がった


「では昼食に行ってきます」


営業スマイルでそう言うと後輩の横を通り過ぎ、足早に自身の車へ向かった。弁当が楽しみな銃兎の背中には、一体誰が弁当を作ったのかという興味の視線が集まっていた。そしてこの時以降、彼のいない署内で暫く噂話や妄想話で持ち切りになる事を、本人は知る由も無い


「おい誰だ入間に弁当作ったの」
「本人じゃないですか?」
「も、もしかして彼女とか!?」
「いてもおかしくないよな、アイツなら」
「ホントならショックなんだけどぉアタシ!」
「誰が入間に聞いて来いよ」
「嫌っすよ絶対答えないし最悪弱味握られそう」









─────署内の駐車場でコツコツと反響する銃兎の靴音。本来なら食堂がありそこで食べるのが普通だが、人よっては車内で食べる人物もいる。1人で食べたい、臭いが気になってしまう等々理由は様々。なので銃兎が昼食の為に来るのも不自然では無い

しかし“あの入間”が何処と無く嬉しそうな雰囲気を滲み出している、と先に車内で食べていた警官達は思わず目で追ってしまう。それに気付く事もなく自身の車に乗り込んだ銃兎


自身をイメージした黒色のランチバックを見れば頭に過ぎるAの顔。
今日は仕事が終われば理鶯の所に行くか……。と、この後の予定を考えながらランチバックを開けば、彼も例外無く彼女からの手紙が弁当箱の上に置かれていた


「おや……?」


開けるな、という理由がこれか……と目を丸くし手に取る。何の変哲もない小さな紙。何が書かれているのかと直ぐに開いた────

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作者名:刹那 | 作成日時:2023年9月29日 19時

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