960話 教育に悪過ぎる ページ30
『────あっ、銃兎さんおかえりなさいです……っ』
「……合鍵は今誰にも渡して無い筈ですが何故入れているのかは聞かないでおきます。ただいまAさん」
「ンだよAに外で待てって言うのかよ」
「テメェは住居不法侵入でしょっぴいてやろうか」
「あ゙ぁ!?」
「怒るな左馬刻。それよりも銃兎、ここのセキュリティに穴がある。住む場所は考えた方がいいぞ」
「軍人相手に勝てるセキュリティがあれば良いんですけどねッ!!犯人は貴方でしたか理鶯!!」
少し遅れて自身の家に着いた銃兎は、リビングで寛いでる3人に頭を抱えた。いやAは完全に巻き込まれた側、怒りの原因から除外されている
自由奔放、常識が通用しない2人は、外の常識を覚えている最中のAの教育に大変悪い。怒鳴りながらそんな事を考えていた
『えと……すみません銃兎さん……。私てっきり許可を得てのモノだと思って……』
「Aさんの爪の垢を煎じてテメェらの口の中にぶち込みてぇ……」
教育に悪過ぎる連中といるのに何故ここまで良い子なのか。思わず左手で前髪をくしゃりと怒りのままに握り零した
しかし苦労人警察官のストレスなど、ヤクザと軍人にとって何処吹く風である
「Aさん。どうやって入ったかは知りませんが、他人の家へ入る時に鍵以外で解錠する事は基本的にありませんので、絶ッ対!に!真似しないで下さい」
『わわわ分かりました……!!』
「では私は着替えてきますので、冷蔵庫の中の飲み物好きに飲んでおいて下さい」
「おー」
「了解した」
警察官内心、早く帰れと思っている
・
────銃兎が寝室でラフな黒のスウェットに着替えてリビングに戻れば、ジュースを飲みながらテレビを見ている3人が視界に映った
酒は一切用意していないし、実際にテーブルに置かれているペットボトルもジュース。なのに左馬刻と理鶯のテンションは比較的高かった
「見とけよA、こういうのは勉強になるからな」
『そうですね!』
「ふむ……弁当とは気を付けなければならない箇所が多いのだな」
『あ、因みにお2人はどんな料理が入ってると嬉しいですか?』
「肉」
「Aが作ったモノであれば何でも喜ぶぞ」
3人が見ている番組はどうやら弁当に関する特集をしているらしい。人々が抱える弁当の悩みをプロが答えると言うモノ
中々にタイムリーな番組がやっていたものだ──と、銃兎は楽しそうな彼等を見て、穏やかな顔で声を掛けた
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年7月29日 8時