916話 埋められていく溝 ページ36
未だに完全に理解はしてないが、取り敢えずマイクを仕舞った三郎。隣のキョトン顔の二郎はというと、目をパチパチしながらAへ聞く
「え、A仲直り出来たのか?」
『はいっ!!二郎さんの話からヒントを得まして、無事出来ました!』
「は?お前、このガキに相談してたのかよ」
『心配で電話してくれたんですよ?その時に相談を』
「ダチが仲良い奴と喧嘩しちまったって聞いたら心配だろうが」
ブクロの番犬は相手がヤクザであろうと臆せず睨む。牙を覗かせる口から出た友達思いの純粋な答えに、左馬刻は溜息を吐きながら頭をガシガシと乱雑に掻いた。そして今まで座っていたのを止め立ち上がると、Aの横を通り過ぎゆっくりと二郎へ近づいた
見下ろす紅は威圧感があり、思わず怯む二郎と隣にいる三郎。何をするのかとあわあわとAは後ろから見守り、一郎は咄嗟にマイクを構える
しかしこの後、左馬刻の言葉でブクロ兄弟3人共仲良く驚愕の声を上げるのであった
「………あー……悪かったな。それと………。……Aの相談に乗ってくれて………あ……ありがと…な……」
「………へ?」
「は…?」
「え……」
「はぁぁぁああああああッ!!!?」
事務所が少し揺れたような気がする程叫び声を上げた3人。Aは嬉しそうに表情を緩ませ、左馬刻は至近距離の絶叫に両耳を塞いで怒鳴った
「るっせぇなガキ共ォッ!!近所迷惑だろうが!!」
「は!?え!?あの左馬刻が俺にあ、ありがとうって…!!?聞き間違いじゃねぇだろうな三郎!!」
「僕もしっかりと聞いた……。な、何が起こったんだ…!!」
「左馬刻……。ホントにお前左馬刻か……?」
「テメェらいっぺんハマの海に沈めてやろうか……ッ!!」
3人が驚くのも無理は無い。それ程彼等の溝は深いのだから。一旦言うのを躊躇ったものの、目線を合わせて感謝を伝えた左馬刻。その姿はこの先絶対見られないモノだと、3人は思っていた
そして左馬刻本人も、まさか言う時が来るとは……と思っているのである
『むふふっ、左馬刻さんそうです、そうですよっ!!』
「何気持ち悪ィ顔してやがンだ」
『だって〜むふふふっ』
埋められていく溝。それを感じたAは自分でも抑えられない程に破顔している。よく笑う彼女ではあるが、今回は一段と表情が溶けてる。左馬刻は溜息を吐きながら直ぐにスマホで撮影をした
『あっ!今撮りましたよね!?』
「俺様を笑った罰だダボ」
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刹那(プロフ) - クリームソーダ好きさん» クリームソーダ好きさん!応援ありがとうございます!これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (7月8日 17時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
クリームソーダ好き - とっても面白いです、!応援しています! (7月8日 11時) (レス) @page39 id: 4c76633c5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那 | 作成日時:2023年6月4日 10時