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912話 来客 ページ32

────次の日。



今日も萬屋ヤマダは営業中。しかし予約も無く出張する予定も無いので、一郎は仕事用のデスクと向き合い、書類整理をしていた。
二郎と三郎は平日なので学校だ。テストも大会も無いし、帰ってくるのは夕方だなぁ……。なんて考える一郎が持つスマホには、3時47分と表示されていた


黙々と作業する一郎だが、胸の中には大きな引っ掛かりが残っている


Aの事だ。あの日、自分が送ると言ってしまった所為で、左馬刻とAの間に亀裂を生んでしまった。相手が気に食わない奴だろうが、Aは慕っていた。だから彼女が今も悲しんでいると思うと、仕事をしても誤魔化せないモヤモヤがあったのだ


集中出来ずとも暫く小さな字を見続けた為に、目に疲労が蓄積され一旦休憩を挟む事にした一郎。立ち上がって背伸び、そして目頭を優しく揉みながらコーラを取りにキッチンへ向かった



───ピーンポーン



突如なり響くインターホン。

こんな中途半端な時間に客か?電話じゃなく、しかもアポ無しでくるなんて珍しいな。
一郎はコーラを諦めて「はーい」と返事をしながら玄関へと駆け足で向かった









「はーい、何かのご依頼────………って、左馬刻!!?」

「さん、を付けろ。ドグソ野郎が」


慌てて扉を開ければ目の前に立っていたのは左馬刻だった。眉間に皺を深く刻み、明らかに不機嫌である。なのに態々ここまで尋ねて来る理由が見付からず、完全に一郎は名前を呼んだっきり固まってしまった


『ちょっとちょっと左馬刻さん!!一発目から印象悪いですって!!喧嘩する為に来たんじゃないでしょ!?』


彼の隣にはAがいた
一郎は左馬刻の衝撃が強く、最初彼女に気づかなかったが、声を出した事によって漸く認識出来た。何故か彼女はリュックを背負っていて、左馬刻としっかり手を握っている。どうやら仲直り出来たらしい。未だに衝撃が残ったままだが、良かったと安心感も出てきた


「えっと……A、仲直り出来たのか?」


念の為に確認してみると、Aはとびっきりの笑顔で頷き、固く繋がれた手を上げて一郎に見せた


『はいっ!!この通り、仲直り出来ました!お騒がせしてすみません!!』

「態々コレ見せなくても良いだろうが……」


一郎がいる為か、素っ気ない左馬刻。しかしいつもとは違う雰囲気。棘はあるが鋭さは無くなったような違和感に、一郎は戸惑いつつ「そ、それは、良かったな……」とぎこちなく返した

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刹那(プロフ) - クリームソーダ好きさん» クリームソーダ好きさん!応援ありがとうございます!これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (7月8日 17時) (レス) id: 474b3cc025 (このIDを非表示/違反報告)
クリームソーダ好き - とっても面白いです、!応援しています! (7月8日 11時) (レス) @page39 id: 4c76633c5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那 | 作成日時:2023年6月4日 10時

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