514話 護る為にはリスクが必要……ですか…… ページ23
食べ切れなかったたこ焼きを頬張り、次のたこ焼きに爪楊枝を刺す。ゆっくり持ち上げ、箱を持ち続けてくれている理鶯さんの近くにまで運ぶ
『はい理鶯さんっ。あーんです』
「あぁ感謝する」
そう一言言えば、フーフーせずに大きな口を開けて丸々頬張った。熱くないのかっ!?と目を大きくしていると、ゴクリと嚥下した後「美味しいな」と涼しい顔で感想を述べた
『熱くないんですか……?』
「む?あぁ、この程度なら問題ない」
「ホント頑丈だな、俺様でも冷まさねぇと無理なのに。痛覚生きてンのか?」
「無論生きている。とある潜入作戦の時、敵が手榴弾を投げてきたのだが、当時の小官は未熟という事もあり避ける事が出来なかった。爆発の熱風、飛んできた破片が我が身を――」
「STOP STOP STOP!食事中なんですからグロテスクな話は止めて下さい!」
「痛覚があるという証明をしようとしていたのだが?」
「わ、悪ィなご丁寧に。そりゃ爆弾なり銃弾なり受けてたら、それくらい何ともねぇわな」
淡々と常人なら気が狂いそうな痛みを負った経験談を語ったので、2人はヒクヒクと表情を引き攣らせていた
きっと今の話は数えられない経験の中の1つ、他にもあるだろうし、それ以上の物もあった筈だ。それでも軍人を全うし、今でも軍人であろうとする姿は尊敬の念を堪えない
――でも。
『私、痛いの嫌です……。誰かが怪我をするのも……』
喩え、過去の話でも大切な人が傷を負うのは嫌だし。私自身も痛いのは嫌だ
その言葉は自分を犠牲にして国を守ろうとした人々を、愚弄してしまっていると思っても口から溢れてしまう
でも3人は怒る事も悲しむ事も無く、優しい音色で言葉を紡いだ
「あぁ、人間誰しも痛みを嫌うだろう。それは自然の道理、だからこそ小官は軍人となった。貴女の様な存在を護る為に」
「俺だって痛いのは嫌だっつーの。でもよ、この世の中は公平じゃねぇンだ。誰かが誰かの痛みを代わりに受けてやンねーと護れねぇんだよ
ま、その痛みなら喜んで受けるけどな」
「何かを成すにはそれ相応のリスクがあるんです。我々はそれを承知の上でこの仕事をしています。それに、貴女も同じ事をしていたじゃないですか、こんな立派な怪我をして」
「そーだぜAチャンよ。嫌だって言いながら真っ先に飛び込んでんじゃねぇよ」
左馬刻さんは拗ねた様に口を尖らせると、絆創膏越しの傷に人差し指を当てるとピンッと弾いた。痛みは無いけど反射的に『イタッ』と零れる
515話 覚悟……。ですか……→←513話 食べ盛り……というヤツですかね
69人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉……っ。ありがとうございます!! (2021年9月28日 23時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - これからも応援しています。 (2021年9月27日 23時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - にゃんこさん» にゃんこさんいつもコメントありがとうございます!!楽しみにして頂き嬉しいです!!(*´ω`*) (2021年9月27日 23時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - おめでとうございます。スッゴク楽しみにしていました。 (2021年9月27日 22時) (レス) id: 37a2cce778 (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - おたくちゃんさん» おたくちゃんいつもコメントありがとうございます!!私解釈のMTCは気に入る人物には甘々なんですが、それを尊いと言って下さり嬉しいです( ◜ω◝ ) (2021年9月25日 9時) (レス) id: 3de0358234 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那 | 作成日時:2021年9月22日 22時