27話 天誅 ページ29
脳が引きちぎれそうな程の激痛
止まらない吐血
叫びすぎて声が枯れ、意識が朦朧とする……
それでもマイクを離さなかった
ラップだけじゃダメだと思ったのか何人かは暴力をふった
私はうつ伏せになりマイクを胸あたりで抱きしめ傷が付かないように守る
「次の1ヴァースで死なせてやるよ……」
オヤカタは歪な笑みを浮かべると息を吸った。私は耐える為に目を閉じ歯を食いしばる
するとオヤカタではない誰かのラップが聞こえた
それは私にダメージは無く、爆発音と悲鳴が聞こえたので恐る恐る瞼を開くと何故かオヤカタ達は倒れていた
『えっ……』
状況を把握出来ないでいると背後から声が
「おー生きてっか?」
重い体を起こし振り返ると、その正体に涙が溢れ嗚咽が漏れだした
『…ぁ……ぁあ……』
「大丈夫?」
あの日 温かい飲み物をくれた人は私の近くに来て心配してくれた
何で……私は大事なマイクを奪ったのに……
私はその人に奪ったマイクを返し、枯れた声で必死に謝る
『ごめん……なさい…ごめんなさいッ……私ッ……』
「怒ってないよ それより君が生きてて良かった」
彼はそう微笑みマイクを受け取ってくれた
その表情を見ると、視界が揺らぎ全身の力が抜けてしまった
・
「あっ!大丈夫!?」
少女は意識を失ったのか独歩の方に倒れ込み、独歩は慌てて支えた
「どうやら安心して意識を手放した様だ。観音坂、伊弉冉、彼女を病院に連れて行けるか?ここは小官達がやる」
「は、はい!!」
「わかった!先生の所に無事届けてみせるさ!行くよ独歩君!」
一二三は少女をおぶり独歩と共に倉庫を出た
見届けた3人はジリジリと親方に近づく
「何で…MTCが……」
「おぉアレ喰らっても起きてんのか」
「まぁ都合がいいでしょう。色々と情報を聞き出させて頂きますよ」
「貴様らの悪行は目に余るものがある。覚悟しておけ」
左馬刻は睨み殺しが出来そうなくらいな目つきで 銃兎は汚い物を見るかの様に 理鶯は銃口を突き付けてるかの様な視線を向けた
その圧に親方は怯む
「なんで……バレたんだよ……」
「ハッ こんなボロい建物で叫んでたら遠くてもバレるっつーの」
「今までは証拠残さず犯行に及んでいたのに今回は何から何まで雑でしたね
よっぽど天狗になっていたんですかねぇ?」
「さて 小官達も早く病院に行き少女の様子を見たいのだ手早く吐いてもらうぞ」
──3人の悪魔は犯罪者達に拷問という名の天誅を下す
433人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那 | 作成日時:2020年12月14日 12時