シ ョ ー ケ ー ス 越 し【 うらたぬき 】

sweet25.メッセージ〈side.夢主〉 ページ26

カタカタカタカタ。




壁を隔てた先から聞こえてくる陽気な店のBGMと客の喋り声に混じって、無機質な機械音が響く室内。



今日は朝から、ひたすら事務処理を続けていた私は、３台ほど並んだデスクの中の一つに向かっていた。



この店は、そこそこ繁盛はしているもののそこまで従業員の数も多いわけではなくて、私も厨房・接客・事務・清掃と、数々の仕事をこなしている。






⋯しばらくすると、少しだけ一段落ついて、ふと傍らにあった携帯に目を落とした。



表示されていたのは、メッセージアプリのマーク。




⋯しかも、送り主は渉くん。




画面を見ると、



渉くん今日はお仕事何時あがりー?返信手が空いた時でいいよ!



と、彼なりの気遣いまで施された文章。



しかも、メッセージが送られてきた時間を見ると、13時頃。



今の時間が15時だから⋯いっけない、気づかなかった。




でも、そんな些細な気遣いがすごく嬉しくて、急いで返信を打ち込む。



Aお返事遅くなってごめんね!今日は19時くらいだよー!




よし、おっけ。



そしてまたパソコンに目を戻して、３分、４分ほど経った頃。



ピコン、と着信音が鳴って、画面に再び表示された"渉くん"の文字。



渉くんそーなのね!おつかれさま!あ、じゃあそのあと空いてない?


Aうん!空いてるよー


渉くんよかったー!じゃあ、ご飯食べにでも行かない?Aが好きそうなお店見つけたんだー



そして、続けて送られてきた可愛いスタンプ。




⋯てか、待って待って待って待って⋯！



これってデートのお誘いでは⋯！



両国に誘われた時も嬉しかったけど、あれはどっちかというとデートっぽくなかったからなぁ⋯



携帯を握りしめて、嬉しさに頬を緩ませてしまう。



なんか、いわゆる放課後デートならぬ仕事帰りデートだよね⋯！憧れたなぁ⋯♡




⋯じゃなくて。



っと、返信返信。



Aえ、行く行く!楽しみー!


渉くんほんと?なら19時くらいにお店に迎えに行くねー!


Aうん!ありがとー!




返信に既読が付いたのを見て、そっと画面を閉じた。



どうしよ、めっちゃ楽しみ⋯！




よーし、あと4時間、頑張っちゃお！





再び、部屋に機械音が響きはじめた。


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遅れましたが20000hit越えありがとうございます！

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