第16話 ページ18
一体どれだけの力で掴まれているのか
血が止まり、男の指先は赤から徐々に白くなっていく
手首の痛みに、冷えていく指先
恐怖に駆られた男がもう片方の手を振り上げる
「あぶねえっ！！」
『．．．』
しかし大して力も入っていなかったのか
彼女の力が想像よりも強かったのか
Aは持っていたバインダーで振り下ろされた手をはねのける
それと同時に掴んでいた手を離したことで
男は後ろに倒れていき見事にしりもちをついてしまう
うしろに立っていたほかの選手はその一瞬の出来事についていけず唖然としたまま立ち尽くしている
座り込んだまま動けない男の前に
Aがゆっくりと膝をつく
「っ！」
びくりと強張った体を無視して
Aは先ほど自身が掴んだ方の手をとった
抵抗の力もない手は薄っすらと赤みを持っているものの
徐々に元の肌色に戻っていっている
『ここであなたたちがすることはただ一つよ』
「．．．」
肩から下げていたカバンから冷湿布を取り出し丁寧に貼る
『この監獄の中で
たった一人．．．
最後のストライカーとして生き残ること』
「っ」
『わかる？
それ以外の事は無意味なの
あなたが何を望もうがあなたの勝手
でもそれで無駄な時間を増やさないで
あなたが努力し続けるなら私はいくらでも手を貸すわ
けど．．．
ここでそんな事も出来ない人間はいらない
私にとって何の価値もないの』
「ﾋｯ！」
真正面から男を見据えるAの瞳は
いつもの優しい瞳ではなかった
冷たく、暗く
淀んだ水のような
鋭く、恐ろしく
飢えた獣のような
酷く恐怖を煽るような深い緑
先ほどまでニヤニヤと下卑た笑みを浮かべていた男の表情が
今では見る影もなく青に染まっている
『私は人の努力を無下にする人間も
台無しにする人間も大嫌いなの
これ以上私を怒らせないで？
ね？
言う事聞けるわよね？』
男は何度も何度も
まるで壊れた玩具かのように首を縦に振る
そんな男を見てAはにっこりと笑みを浮かべる
『あなたが素直な人でよかった！
手首痛かったでしょ？
ごめんね？』
「ぃ、いや．．．
大丈夫、です．．．」
『そう？
ならよかった
さあみんな！
騒がせてゴメンね
練習開始して〜』
本当に先程までの人間と同一人物かと疑う程の変わり様に
彼らはしばらく動けなかった
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るあ(プロフ) - 細かくて申し訳ないんですが凜は凛です💦 (2023年4月29日 15時) (
レス) @page28 id: 400c031e62 (このIDを非表示/違反報告)
SHINKAI(プロフ) - 瑠璃（Aru）さん» コメントありがとうございます！そのように言って頂いてとても嬉しいです！！中々筆が進んでいませんが、頑張って更新していきますので、これからもよろしくお願い致します。 (2023年3月26日 16時) (レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃（Aru） - こんなに面白いのになんで伸びないんだ？めっちゃ好きです。応援してます！ (2023年3月21日 9時) (レス) id: cdae4ec124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2023年3月9日 23時
