第19話 ページ21
「お前、驚かねーのな」
『何が？』
「何が、って．．．
さっきのことだよ」
『さっきの、っていうのは死体のこと？
それともキルアがあの人たちを殺 したこと？』
「．．．」
『別に、何も思わないよ
死 んだあの人たちは知り合いなわけじゃないしね』
「そりゃあ、そうかもしれねえけど．．．」
『死体なんて慣れてるし
それに知り合いが人殺ししても別に気にならないかな』
「なんで？」
『うーん』
なんで
純粋なキルアの問いに、Aはしばらく頭を悩ませたが、正直に言ってしまおうと結論を出した。
その答えに、キルアは大きく目を見開くことになるとも知らず。
『私も、人を殺 したことあるから』
「．．．！」
『だから私があれこれ言う資格はないんだよ
まあ、そもそも何も思わないんだけどね』
「何も．．．」
『うん
何も思わない
本人が望んでしたことなら私は何も思わないし何も言わない』
「．．．(俺が、望んでしたことなら、か)
聞いてもいい？」
『うん、いいよ』
「Aはさ、なんで人を殺 したの？
仕事とかじゃないだろ？」
『仕事ではないねー
うーん、そうだなぁ』
再度考える彼女の脳内には、いったい幾つの死があるのだろうか。
『理由は、その時その時で違うけど．．．』
「(一回じゃないんだ、殺 したの)」
『でも、そうだなぁ．．．
全部、自分のためだったよ』
「自分のため？」
『うん
私は私の感情に従って、私のやるべきことに理由をつけて
殺 したの』
「．．．」
『だから
私はこの先も、必要があれば
それが自分のためになるなら何度だって命をこの手にかける』
「そ、っか．．．」
『うん』
「．．．」
流れた沈黙は数秒だったはずなのに、まるで何時間にも感じたのは
恐らく2人とも同じだっただろう。
沈黙を破ったのはAの方だった。
『あー、だから、ってわけじゃないけどさ』
「うん」
『あんまり気にしなくていいよ』
サファイア色の瞳が、端正な横顔を見つめた。
視線は未だ、交わらない。
『いつまでもそんな顔でいられちゃ
寂しいよ』
「！」
寂しいと口にして
ほんの少し不器用に笑った彼女は、きっと彼女なりにキルアを励まそうとしていたのだろう。
そんな顔が、一体どんな顔だったのかキルアはわからないが
それでも先ほどまでの心のモヤは、彼女の笑顔と言葉で晴れたのは間違いではないだろう
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SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます！そう言って頂けるとすごく嬉しいです！これからも作品をよろしくお願いします！ (2022年8月31日 0時) (
レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです！ (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年2月11日 4時
