その2 ページ11
朝食を食べ終わった。
今日は日曜か。
「ねえ、今日何処か行こうよ」
彼女に提案してみる。先程怒らせてしまったから、機嫌を直してもらおう。
「……寒いから嫌」
……更に気を悪くさせてしまったらしい。
確かに彼女は、態々こんな日に出掛けるような人じゃなかった。
だが、ここで諦めるよりは。
「じゃあ昼食は食べに行こう、外に」
「蕎麦が食べたい」
「わかった」
彼女は満足そうに笑い、私の前にあった食器を片付け始めた。
***
「………行列」
昼12時、丁度。
私たちの前には、蕎麦屋………ではなく、おぞましい人々。
「ここで待つより、他の店に行った方がいいと思う」
「そうだねえ」
それでも彼女は家に帰りたいとは言わなくて、ほっとする。
彼女は私との時間を大事にしてくれているのだと思うと、なおさら。
「……ねえA〜」
「なに。気持ち悪い」
「…………愛してるよ?」
彼女の瞳を見つめる。まっすぐに。
とたん、彼女が両手で顔を隠した。
「ちょ、Aー?」
「呼ばないで、むり、もうむりだから」
彼女が壊れる(?)様子を見るのは久々だ。
私にしか見せてくれないこの表情、仕草。何もかもいとおしい。
彼女の手をぎゅっと握って、自分のコートのポケットに突っ込んだ。
耳まで赤くしているけれど、たまにはいいよね。
冬は寒いんだから。
*冬も中々好いものだね、可愛い君が見れるもの。
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Deco - 中也さんの五分後最高でした!私もこんなバレンタイン過ごして見たい…… (2018年12月16日 15時) (レス) id: 9c8b9058f8 (このIDを非表示/違反報告)
乱歩君大好き人間(プロフ) - 5分後シリーズ全巻持ってます(自慢) (2018年10月10日 22時) (レス) id: 890e7ee745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱寧 x他1人 | 作成日時:2018年8月19日 10時