5分後に恋する文豪。-カフェモカ- 中原中也 ページ1
会社帰り。
偶然、同僚の中也と一緒になった。
別段仲がいいわけでもないが、なんとなく駅までの道を一緒に歩く。
「ねえ。コンビニ寄っていい？コーヒー買いたい。」
「分かった」
寒そうにコートのポケットに手を突っ込んだ彼の口からは、白い息。
彼が普段持ち歩く大きめの鞄は、貰ったチョコで溢れかけている。
用もなさそうに雑誌なんか見てる彼を尻目に、レジで注文。
「おまたせ。」
「おう……？」
私の手の、ふたつのカップに彼の首が少しだけ、不思議そうに傾いた。
「ん。」
「なんだよ。おごりか？」
カップを押しつけると、青い瞳がすーっと細くなった。
「寒そうだなって。いらないならいいけど」
「いや、もらうわ。サンキュ」
右手がカップを受け取って、心の中でほっとため息。
なんでもないようにカップに口を付けながら、彼が飲むのをどきどきしながら待っている。
「甘ぇ。コーヒーじゃねえの？」
「カフェモカ。甘いの苦手っていってたけど、これくらいなら大丈夫かなって」
「んー、飲めなくはない」
熱いカフェモカをちびちび飲んでる彼に、熱いコーヒーを飲んでるせいか顔が熱い私。
「そういや、今日って。」
「うん」
期待で、顔が上がる。……でも
「いや、なんでもねえ」
気付け、ばか。
心の中で毒づいたって、彼には聞こえない。
「ごちそうさん。お返しには新しくできたカフェのパンケーキでいいか？」
「へ？」
たかが数百円のお返しに、カフェのパンケーキ？
「貰っちまったからなあ、チョコ。ホワイトデーにお返しだろ？」
彼の片頬が上がる。
とたんにボン！ってあたまが爆発した。
……わかってたんだ。どうして今日、チョコソース入りのカフェモカなのか。
「なんだよ、いらねえの？」
「……いる」
「じゃあ、ひと月後を楽しみに、な。」
なぜか嬉しそうに歩き出した彼の後を慌てて追いかける。
彼が今日、私からのチョコを心待ちにしてたなんて、知らずに。
＊お前だけだぞ。俺のホワイトデー、お前だけにやる。
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Deco - 中也さんの五分後最高でした!私もこんなバレンタイン過ごして見たい…… (2018年12月16日 15時) (
レス) id: 9c8b9058f8 (このIDを非表示/違反報告)
乱歩君大好き人間(プロフ) - 5分後シリーズ全巻持ってます（自慢） (2018年10月10日 22時) (レス) id: 890e7ee745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱寧 x他1人 | 作成日時：2018年8月19日 10時
