約束 ページ11
医「…Aさんは乳がんなんです。」
そ「……え…?」
医「ご家族にも、彼氏さんであるあなたにも
誰にも言わないで、と本人が言っていました。」
そ「ちょっと、待って、くださ、」
Aが乳がん…?いつから?
信じられない。
だってそんな素振り見せなかった。
医「通院されていたんですが、4日ほど前
やり残したことがある、と
通院を辞めると言い出されて…。
3ヶ月前に余命は決まっていたんです。
もって1年。
しかしそれは延命をすればの話です。
彼女は、延命よりあなたとの時間を優先しました。」
四日前………。
それはAが夫婦修行をしようと
言い出した日だ。
そ「Aは…助からないんですか?」
医「………すでにステージ4。今日まで薬だけでもったのが逆に奇跡に近いです。」
そ「そんな………」
医「せめて、最期くらいはお隣にいてあげてください…。」
*
俺はふらふらとAの病室へと向かった。
「……………」
そ「…A、指輪……買いに行けないじゃんか。」
返事をしてくれない彼女に俺は話しかけ続ける。
そ「子ども作るんだろう?
いや、その前に結婚式だったな。」
Aの手に触れる。
そ「なぁ…、修行しただろ?
予行練習したじゃないか。
あとは実行するだけなんだ…。」
ぽろぽろと涙があふれる。
胸の奥が苦しくて。
気づいてあげられなかったことが悔しくて。
そ「A……、幸せになろうよ…。
一生、共に暮らそうって練習で俺言ったじゃん。あれ、本気だったんだからな?」
そ「……………Aっ…………」
「……………そ、らる………さん…」
そ「Aっ!!」
「私は…いい、奥さ…んに、なれ、ますかね」
そ「なれるさ。Aじゃなきゃ嫌なんだ。Aじゃなきゃ………」
「…ふふ…………嬉しいです、最後に…そう、言ってもら、えて………」
そ「Aっ、最後だなんて言うな…!」
「そらるさん………約束して、くださ、い」
ほら、また君は急だ。
それを受け入れてしまう俺も俺なんだけどな。
そ「なんだ?」
「…夫婦修行……、役に、立ててくだ、さいね
あの、プロポーズな、らどん、な人でも
受け、入れてくれ、ますから………」
そ「A………」
「そら、るさん…私は……幸せですよ」
綺麗な笑顔を見せないで。
止めれなくなる。
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しゃけご飯(プロフ) - 夢主ちゃんが倒れた時、思わずえっと呟いてしまいました。短編の小説の中で作者様の言いたいこと、伝えたいことがよく分かりました。親戚の方のご冥福をお祈りします<(_ _)> (2019年5月17日 0時) (レス) id: 459be71871 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Sugar | 作成日時:2019年5月6日 21時