ウェディングトレーニング【そらる】 (ページ10)

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花婿修行ページ10

次の日、Aは隣にいなかった。

そ「A？」

出かけたのだろうか。
そう思っていると、テーブルに朝食と手紙が
置いてあるのを見つけた。

【そらるさんへ。

さぁ、夫婦修行も最後です。
今日は花婿修行をしましょう！
私の花婿さんならどこにいても駆けつけて
くれるはずですよね？
私を探してください。待ってます。

A 】

そ「また、急に…」

俺は朝食を食べ、着替えた。
何となく予想はついている。

おそらくあそこにいるはずだ。

＊

「そらるさん…」

やっぱりいた。
俺がAに告白した場所。
綺麗な海の波打つ浜辺だ。

「早かったですね、さすがです」

そ「そりゃ花婿だからな。」

「ふふ、そうですね！」

浜辺に座っているAの隣に腰掛けると
Aは俺の肩に頭を寄せてきた。

「………そらるさん、大好きですよ。」

そ「俺もだよ。」

「これで夫婦修行、終わりですね。」

ふふ、と笑う彼女を見て俺は告げる。

そ「なぁ、A。」

「なんですか？」

そ「指輪…買いに行こう。」

「…！」

そ「本当の夫婦になろう。」

「ふふ、プロポーズ練習の時と随分違いますね」

そ「…あれは練習だからな。」

「そらるさん…」

君の瞳が揺れた。
俺も君を見つめる。
まるで世界に二人だけしかいないようだ。

「……………ごめんな、さい」

Aが何に対してなのか分からない謝罪をし、俺の目の前で崩れ落ちた。

そ「…………っ？！

おい、おい！！A！おいっ！起きろ…！

Aっ！！！」

俺は急いで救急車を呼んだ。
待っている間彼女を軽く揺さぶると
ポケットから何かが落ちた。

それは薬だった。

そ「……っ」

救急車が来た音に気づかないほど
俺は呆然としてしまっていた。