恋と笑いは紙一重２【芸人短編集】

嫌よ嫌よも好きのうち 【有吉弘行】 ページ28

# M .さんのリクエストです。




・


有吉｢うわー、俺お前の事マジ嫌いだわー。｣


『初っ端からとんでもない事言いましたね。』


有｢本当の事言っただけだよ。｣


『ひどい。』




お笑い芸人の私は今日の収録でご一緒する有吉さんの楽屋に遊びに来ていた。そして楽屋に入った途端この言葉だ。レディに対してなんたる侮辱。




『私の何処が嫌いって言うんですかっ。』


有｢うるせぇところ。｣


『うっ、』(ｸﾞｻｯ


有｢バカなところ。｣


『ぐおっ、』(ｸﾞｻｯ


有｢女らしくねぇところ。｣


『い"っ、』(ｸﾞｻｯ


有｢あと…((『ももっ…、もういいです。さっきから私のガラスのハートに短刀が刺さる様な衝撃が……。』




私はそのまま机に突っ伏す。もう無理。しかし、その後また有吉さんが｢あと、｣と続けた。もういいです、勝手にやって下さい。





有｢女らしくもねぇのに家事とか得意なとこ。｣


『、』


有｢他にも。お人好しで人に尽くすとことか、俺に好かれようとするとことか。｣





"全部嫌いだわ。"



有吉さんはそう言うと、空を仰ぐように天井を見た。その耳は、熱を帯びたように真っ赤に染まっている。私はそんな有吉さんを見て、しばらくぽっかり口を開けてしまった。




『ちょ……ちょっと有吉さーん！私のこと結構好きなんじゃないですかー！』


有｢うるっせぇ。俺は嫌いって言ってんだ。｣


『ほら、よく言うじゃないですか！嫌よ嫌よもなんたらかんたらって！』


有｢そのなんたらかんたらが分かってから言え。｣


『このツンデレがー！』




私は有吉さんに飛び付いた。呆気なく剥がされてしまったが、それでも私は気にしない。




有吉さん、好きですよ。

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