恋と笑いは紙一重２【芸人短編集】

笑わせてくれた 【ポケットビスケッツ】 ページ11

kurumikan212さんのリクエストです。




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私は大きなため息をついた。誰にも見られないように、慰安旅行で来ていた旅館の廊下で。ブラックビスケッツとの闘いに敗れた私たちは、"負けたら即解散"というルールに呆気なく従う事になった。


これまでTERUやCHIAKI、UDOと楽しくやってきたバンド活動も、これで終わりだと思うと、涙が止まらない。





テル「おーい、Aー。何処だー？」


ウド「あっ、あの背中は多分……。」






後ろからテルとウドの声がして、私は慌てて目を擦った。泣いてたなんて、バレないように。私はばっと振り向いて、何事もなかったかの様に明るく話しかけた。





『あっ、ごめん。どうしたの？』


ウ「チアキが温泉入りに行こって探してたよ？」


『そっか。そろそろ入りに行こうか。そういえば、テルとチアキは"居酒屋ナミちゃん"の仕事休んで来てよかったの？』


テ「いんだよそんくらい。返ったらまたバリバリ働くから。だから、お前もそんな泣いてんな。」


『え…』






テルとウドは、優しい目で私を見た。目が赤くなったから泣いてたことバレちゃったのかな。私は呆然と二人を見つめると、二人は明るく答えた。





テ「だって、初めて俺らに利き酒対決をアイツらが申し込んで来た時はちゃんと勝てて、それでファーストライブ出来たじゃねぇか。二回目の利き寿司対決だって勝てて、シングルだって5枚も出せたんだぜ!?こんだけ活動できりゃ、もう悔いはないって！」


ウ「そうだよー！僕もドラム担当として皆とバンド活動やって来たけど、もう充分って言っていいくらい満足した!!だから、これからは皆それぞれの道を大切にしていかなきゃ。」


『……そっか、そうだよね。ありがとう二人とも。なんか元気出たかも！』


テ「そうなくちゃな！じゃ、チアキも待ってるだろうし風呂入りに行くか。」


ウ「晩ご飯は何かなー。」






3人で肩を組んで、チアキの元へ向かう私たち。今までこの3人で、ポケットビスケッツやってて本当に良かった。



私は再び泣きそうになるのを堪えて、眩しいくらいの夕焼けに目を細めた。

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