Distance -YF-

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Y


今日も袖からステージに立つ2人の姿と割れんばかりの歓声にどうしようもない羨望の想いを抱え込む


その想いは日に日に大きくなって自分でも対処できないぐらいに膨らんでいた。

見なきゃいいのにでもやっぱり見たくて


馬鹿だなぁって思うけど

やめられない







「わったー？大丈夫？どっか痛いの？」

いつの間にか次の衣装に着替えていたニカが心配そうな表情で傍に立っていた。

「ん？どこも痛くないよ」

「ならいいんだけど…」

「やっぱ藤北ってすげぇなって思っただけ」

誤魔化すように笑った俺に屈託無い笑みを浮かべて

「オレらも頑張ろう！つか、オレ頑張るっ！」

「なんだそれ」

子供のような仕草で意気込むニカに思わず笑いが漏れる。

「みんなに置いてかれないように頑張るから！だからちゃんと頑張れたらわったー褒めて？オレ、褒められて伸びるタイプだし」

「ばーか、自分で言うなっつーの」

そんな他愛もないやり取りのおかげで少しだけ気分が浮上した。



「ニカちゃん♪ニカちゃん♪」

おっしゃ！行くぞ〜なんて言いながら気合いを入れてステージに向かおうとしていたニカを呼び止める。

「なぁに？」

「ありがと」

そう言ってクシャッとせっかくセットし直したニカの髪の毛を崩してやった。

「うわぁっ！まじふざけんなっ！」

「あはは、ほら行くぞ？」

慌てて髪を直すニカの手を引いてスタンバイする位置に向かった。




大丈夫

俺にはこんないい仲間がいるんだから

この痛みも想いも

きっと徐々に薄れて行くだろう



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