Distance -YF-

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F


「はい、傷心の藤ヶ谷くんにカンパーイ☆」

オレの気持ちを逆撫でするような能天気な声にイラっとしながら北山が乾杯と掲げるのを一瞥して口元へと運ぶ。


「お前から言ったの？」

相変わらずデリカシーないヤツ…

「オレのことなんて好きじゃないもん…」

「はぁ？なんでそう思うんだよ。なんか言われたの？」

「渉はただ事を丸く収めたかったから流されてくれただけ…」

自分で言ってて悲しくなってきた。


でも思い当たる節はたくさんあって

付き合おうって言った時も

抱いてって言った時も


渉の意思なんて全然無視してただオレの言いなりだった

自分で言うのもなんだけどオレのモチベーション１つでグループの空気が左右されるのは明確な事実で、きっと誰よりグループを大事にしている渉は自己を捨ててオレのわがままに付き合ってくれてただけなんだ。


「それにようやく気付いたんだ…」

「はぁ？よこーさんっていくらなんでもそこまで自己犠牲の意識強いか？俺だってグループ大事だけどだからってお前抱けねぇわ」

「っ！お前なんかに抱かれるって想像しただけで吐き気するわ！」

「あはは、冗談はさて置き…一個聞いていい？」

さっきまでとは打って変わって真剣な眼差しを向けられて目をそらせずにいると

「お前さ…よこーさんにちゃんと気持ち言ったの？」

「…いや、言ってない」

「バカか？」

「お前に言われたくねーし！」

「んーじゃあよこーさんがどう思ってお前とそーなったかも聞いてねぇの？」

「聞ける訳ないじゃん」






そんなこと怖くて聞ける訳ないじゃん…

グループのために太輔の相手してやってる…とか

そんなの本人の口から聞きたくないもん

そんなこと聞かなくても分かってるもん





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