【庭球】平穏に過ごしたいだけ

気軽にゲームさせて ページ24

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「お待たせ…」
「遅い！危うく1ステージクリアしてまうところやったわ。」


夕飯を食べ終え居間に行くと、既に謙也がゲームを始めており、私の分のコントローラーも用意されていていつでも私が参加できるように準備されていた。画面を見てみると「GAME OVER」の文字が出ており、ボスに苦戦しているのが目に見えてわかる。


「危うくっていうか、ずっとボスに苦戦してただけじゃない？」
「ちゃ、ちゃうで！別にこんなボスくらい俺1人で倒せるわ！」
「じゃあ見てるからやって。」
「ぐっ…………、助けて下さい。」


悔しそうにしながら慣れない敬語で助けを求めてくる。その顔は「ぐぐぐっ」と効果音か声が聞こえてきそうで、むしろ顔芸に見える。私の分のコントローラーを渡され、コンテニューを選んでゲームを始める。意外だと思われるがゲームは得意な方で、ジャンルによっては割と上手い方だ。今からやるゲームはRPGなので、言ってしまえば得意でも不得意でもない…でも謙也よりは上手い自信はある。


「ちょ、なんでその甲羅投げたの迷惑なんだけど…！」
「これで倒せると思ったんや！…うわぁっ！？甲羅が返ってきて死んだー！！」
「勝手に死ぬんじゃない…結局私1人じゃないか。」
「はよ生き返らせんかい！」
「もう私1人でここクリアするから次のステージから入って来い。邪魔。」
「酷い！」


流石スピードスターと言うべきか、こいつはダッシュでどんどん前に進むし、それ故敵に当たって勝手に死ぬ事も多い。今みたいに自滅も多いし、どうも足を引っ張られてるとしか思えない。次に進む為にはこいつを生き返らせないのが1番だ。


「はい、クリア。」
「ほんまお前ってゲームセンスあるよな。なんでや？」
「謙也が突っ走りすぎ。冷静にやってればなんとでもなるよ。」
「絶対そんな事あらへん…。次はこのゲームやるで！俺とお前の一騎打ちや！」


次のゲームは格闘ゲーム。たまにゲームセンターでやったりするので、私にとっては得意なジャンルのゲームだ。謙也は私が不得意でないゲームをよく選ぶ。そもそも彼自身はレーシングゲームが得意なのだが、私はどちらかと言うと苦手だ。そのゲームにもよるが、画面酔いしてしまうのが主な原因だ。自分が得意なゲームを選べば絶対有利なのに、こいつはそれをしない。


「(なんて言ったらわかんないけど…)なんつーかさ、」



(あんたって馬鹿だよね)
(突然の悪口酷ない？)

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