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Episode054 ページ5

米屋side



突然亜桜にランク戦を申し込んだ黒髪の訓練生(しかもまだ仮入隊)は、烏丸京介と言うらしい。


「ね、京介まだ中学上がったばっかだよね?何でボーダー入ったの?」


亜桜が出水の隣に座って、出水と向かい合うようにオレ、亜桜に向かい合うように烏丸が座った。確かに、進級したばかりのオレらを先輩と呼んだから、烏丸は今年中学生になったばかりと考えるのが妥当だろう。


「あー……ウチが貧乏で大家族なんで、長男の俺が稼がないといけなくて」


へえ、こいつ長男なのか。確かにボーダーなら正隊員になれば戦功等で賞金が貰えるし、A級になれば給料もあるしな。


「意外と苦労してるんだ……だから大人っぽいのか」


亜桜は納得したように頷いた。確かに亜桜の言うように、落ち着きとかも烏丸は大人びている。というか目の前にいる亜桜よりも大人に見えるというか、いやまあこれは本人には絶対言わないが。


「そりゃ早く正隊員にならねーとだな、訓練生は金貰えねーし」


オレは隣に座る烏丸の頭にぽんと手を置いた。「そうですね」と烏丸は返事をする。


「Aにボコられたからって落ち込んでる暇なさそーだぞ」
「それ、もしかして励ましてくれてますか?」
「”なっおれは別に、」
「京介最高」


出水も烏丸を見て面白そうに笑って、烏丸が出水の方に顔を向けたのでおれは烏丸の頭から手を離す。二人のやり取りに亜桜が手を叩いて笑った。烏丸のやつ、さっきから亜桜が猫を被っていたことを見破るしで、本当におもしろい奴だ。


「亜桜先輩、今度リベンジするんでまた付き合って下さいよ」
「正隊員になったらね、その時は私万能手になってるから」


亜桜のその言葉に、烏丸は「万能手目指してるんですか?」と問う。そー、と亜桜が返して、そいつはそのまま立ち上がる。さっきまで万能手になれずに焦っていた様子だったが、烏丸とのランク戦を終えた亜桜は、随分落ち着いているように見えた。


「どした?」
「六千ポイント、掻っ攫ってくる」
「はあ?今からかよ!」


その弾バカと亜桜のやり取りを訊いて、オレは楽しくなって笑った。本当、最近の亜桜は思い立ったらすぐに行動するようになったし、ランク戦に関しては連戦に抵抗がなさすぎるんだよな。ランク戦バカとはこいつのことを言うのだろう。


「京介のおかげで感覚掴めたっぽいんだもん、忘れないうちに何人か試しに殺さないとね」
「ほんと物騒だな」


ギラリと笑ったその笑みは、どちらかというと悪役の顔だった。

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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時

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