Episode024 ページ25
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その質問に対して太刀川さんは、ただ黙って頷いた。私も何故出水がそんなリアクションをするのか分からなくて、「なに?」と言いながら小首を傾げた。
「っはあ!?訊いてないっすよ!こいつも居るなんて!」
「言ってないからな」
いきなり出水が大声を上げて、太刀川さんは淡々と返事を返す。「はっ?」と、私も訳が分からず二人を交互に見つめた。こいつ……も?”も”ってまさか……
「出水も……太刀川さんの隊に?」
私は、恐る恐る太刀川さんに尋ねる。しかし、どうか違ってくれ、という私の願いも虚しく、太刀川さんから衝撃の真実が明かされた。
「俺が誘ったからな」
「はあ!?出水と同じ隊ってこと!?」
「何か困るのか?むしろ心強いだろ」
その男は何食わぬ顔で答えた。本当に冗談じゃない。確かに天才と同じ隊という表書は心強いが、私は、いつか出水公平という男をボコボコにしてやろうと意気込んでいたのである。それが急に、チームメイトになると言われても……。そんな私の気も知らない太刀川さんが、出水の肩をぽんと叩いて、グッと親指を立てた。というか、メンバー誘うなら相談してくれたら良かったのに。私だって一応チームメイトなのに、独断で決めてしまうあたりが太刀川慶という男を象徴している気がする。
「どっちが先にB級上がるか見物だな」
太刀川さんがにやっと、完璧に面白がっている顔で笑った。飼い犬のどちらが足が早いか競争する、というようなノリで楽しむのはやめて頂きたい。しかし、天才と謳われる出水と、ランク戦で迅さんとあんな戦いをする太刀川さんと、私は同じ隊ということになってしまった。実力者が揃いすぎて、逆に恐怖を覚える。
「負ける気しないっすよ、こんな奴に」
出水が隣で見下したように私のことを見てきたので、それがカチンときて私は「こっちの台詞」と出水を睨んだ。また出水がなんだとなどと言い返して来るから、私達の口喧嘩は止まらない。
「あとから泣いても知らないから」
「はー、お前ほんと可愛くねえな」
「お前がよねやか!Aの友達だな」
「どーもどーも」
私達の言い合いを止める様子もなく、太刀川さんは同席していた米屋の方に手を回してちょっかいをかけ始めた。
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます!固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜! (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります!! (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです!続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます!!わがままな作者で申し訳ないです(汗)必ず戻ってきます…! (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2015年8月5日 16時