Episode002 ページ3
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平凡は一番幸せなのだと、誰かが言った。あながち間違いではないと思う。特別幸せでもないけれど、特別不幸でもないのだから、何も困ることはない。私には、一緒に要られる女友達も、悪ふざけできる男友達も居る。特別苦しいことも特別楽しいこともない。そんな日常。
「じゃあ前の授業の復習で……亜桜、ココの答えは？」
「げっ」
昼休みを終えた五限目、いきなり先生に当てられてしまった。前の授業は寝ていたので、残念ながら答えが分からない。
「……ねー、ね、」
「ん？」
「昨日のノート見せて欲しいんだけど……だめかな〜〜？」
隣の席の、あまり親しくない女の子。こうなったら昨日のノートを見せてもらうしかない。私は申し訳なさそうな顔を作って、小声で話しかけた。こうやって表情や声で自分を偽造する。これが、私の悪い癖。嫌われたくない自己防衛本能からくる行為なのか何なのか、親密度が低い人間に対して偽りの自分を作ってしまう。
「いいよ、はいどうぞ」
「ありがとう〜〜！」
今の私。それは得意なものも、将来の目標もやりたいことも無い、ただ漫画やゲームが好きなだけの中学生。私はそれを悩んでいる。だって、未来に希望が無いのだから。
「亜桜、答えは？」
「えっと、ーーです」
退屈だなぁと日々思う。思うけれど、どうしようもない。
「正解だ。んで、……」
「ごめ〜〜ん、ほんとにありがとう助かった！」
私はあたかも相手に好意を抱いているような仕草と声色で再び彼女に話しかけた。彼女は「いいよいいよ！」と、優しい笑顔で答えてくれる。私は彼女のことを別に嫌いなわけではない。ただ、興味がないだけだ。今受けている授業だって興味が無さ過ぎて、先生の声がノイズがかかって訊こえる程。
ふと、向こうの席の米屋と目が合った。
『おしばいおつかれさま』
そう米屋の口元が動いた気がした。そして米屋はケタケタと笑う。さっきの女子生徒とのやりとりを見られていたのだろうか。米屋くらい仲が良かったら、表情を見られただけで猫を被ってることがばれてしまう。それくらい、素の自分と作った自分にはギャップがあるのだ。
『よけいなおせわ』
あーあ、この悪い癖、いい加減直さないとなぁ。
「ーー、じゃあ米屋、黒板に書きに来い」
「うげっまじか」
一番面倒くさい問題を当てられてしまった米屋に、ざまあみろと言わんばかりの眼差しを向けてやる。そして、くぁあとあくびを漏らした私は静かに机に突っ伏すのであった。
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます！固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (
レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜！ (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります！！ (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです！続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます！！わがままな作者で申し訳ないです（汗）必ず戻ってきます…！ (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2015年8月5日 16時
