ブルースターをあげるよ ページ21
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「諏訪さん小佐野先輩いる〜？」
機械的な音とともに空いた扉を遠慮なく踏み込んできたのは、言わずもがな同期や同級生たちその他エトセトラが惜しげも無く可愛がっている彼女だ。
堤と共にやって来た彼女に隊室に居合わせた笹森は肩を揺らし、諏訪は「いねーよ」と返事する。諏訪隊には普段色々な来客が来るが彼女が来るのは珍しいことだった諏訪は、なにか急用かと聞けば彼女は首を振った。
「小佐野先輩に呼び出されてるだけです」
「なんかあんのか」
「髪の毛いじりたいんだと」
「ほーん」
そんな会話を聴きながら、笹森はひどく落ち着かない様子で読んでいた漫画を強く握る。堤は彼女用にお茶をいれにいってしまった。諏訪隊は全員の共通趣味が本というだけあって、隊室には色々な種類の本が置いてある。ジャンル問わない本に普段見ることの無い眼鏡姿の諏訪も相まって、彼女の興味はうなぎ登りだ。
「諏訪隊ってこんななんだ」
「あ？おまえよく来ないか？」
「太刀川さんと私間違えてません？」
「おーそういや太刀川か……」
「めっちゃ嬉しくない」
「わりーわりー」
「ひっど！笹森くんもそう思うよね〜」
「っえ！あ、うん！ひどいと思う！」
「日佐人を巻き込むな」
笹森は少し頬を赤らめる。何を隠そう笹森も彼女のファンの1人だ。噂ではとりまるガールズに次いでこかじボーイズという派閥があると聞く程彼女のファンはボーダー内に散らばっている。
諏訪は彼女に話をふられ嬉しそうな笹森を見て、彼女をよくやったと無言で見やるも、彼女には何も通じておらず小首を傾げるばかりだった。ふと諏訪のスマホが揺れる。画面を見れば彼女を呼び出した張本人からだ。
「あ、おサノ補習だってよ」
「んえ、どーしよ」
「お前も本読んで待ってろよ。オススメ貸してやる」
「私アレがいいです。難しくないやつ」
「おーおー待ってろ待ってろ」
お茶を持ってきた堤に「よかったね」と言われるまで、笹森はぼんやりとしたままだった。
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月26日 0時
