愛によろしく言って ページ22
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「小鍛冶もでっかくなったなぁ」
諏訪の言葉に木崎と風間と寺島は顔を合わせた。華の女子高生に手を出すとは何事かと立ち上がりかける木崎と風間を寺島は無言で止める。諏訪も「そういうんじゃねーよ」と身を引きながら否定をした。
「3年前来た時は俺らの顔見ただけで泣いてたのによぉ、今じゃ絶賛反抗期だぜ」
「?俺は別に反抗期みたいなそんな素振りされた記憶ない」
「俺も」
「なんだ諏訪だけじゃん」
「はぁーー!?マジかよ」
諏訪が飲み干したジョッキを強く置いた。寺島は勝ち誇った顔をした2人を無視し出てきたつまみに手を伸ばす。
「まぁ泣かれたのは事実だけどな」
「俺と寺島はそうじゃなかったけどおまえら2人は泣かれてたな」
「そりゃ怖いよなぁ、筋肉ムキムキとガラ悪いヤンキー」
「おい」
ハッ、と薄く鼻で笑う寺島に諏訪は眉をひそめた。寺島は他3人に比べて彼女との交流は薄いものの、現役攻撃手時代はそれはよく彼女に試合を申し込まれていた。寺島の攻撃手時代は彼女の狙撃手時代に匹敵するレアな話だ。今じゃその面影を見ることも無い。
「1番懐いてんの木崎だろうけどな」
「そりゃ初期は玉狛に可愛がられてたからなぁ。太刀川が引き抜くまで玉狛に行くんじゃねぇかってくらい玉狛にいたし」
「今も変わらないだろう」
「偏った食生活を若いうちからするもんじゃない」
「完全に小鍛冶のパパ」
諏訪が風間に、彼女に牛乳配達してたことを口に出せば酔っ払っている風間からは「育ち盛りなんだから飲むべきだ」と返される。どいつもこいつも彼女の父親面で、何をつつこうが返してくる内容は変わらない。かくして諏訪も同じ土俵なのだ。彼女と会えば大きくなったなと頭を撫で、飲み物を奢り、たまに勉強を見たりとやることは木崎や風間と同じだ。
「いやー負けてらんないね」
「なんだおまえ。エンジニアが勝てると思ってんのか?」
「最近は一緒に映画観る仲だから」
「なんだと?」
「おい風間抑えろ!!」
「おまえもう飲むな」
同じ穴のムジナ同士の夜は更けていく。
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■ 寺島
現役時代はよくAに対攻撃手のため絡まれてた男。エンジニアになってからは関わりが減ったものの最近、エネドラッド用の映画調達のためにオススメを聞いたら一緒に見る仲になってた。某監視カメラ系ホラーを最近連続で見た
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作者名:40 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月26日 0時