5億グラムのやさしさ ページ13
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ヒュースは疲れたと大の字で寝転ぶ彼女を怪訝そうな表情を浮かべて見つめた。握られていた孤月はカラン、と軽い音を立て彼女の手から離れる。
ヒュースは自分の処罰が決まった件の会議の後、すぐに迅に「しばらくはAと訓練してもらうよ」と言ってまたどこかに消えたのだ。ひらひらと手を振り颯爽と消えていく迅に、そういう訳だからと手を差し伸べきた彼女は「孤月初心者だからお手柔らかに」と照れ臭そうに笑っていた。迅が何の差し金で彼女を仕向けているかはヒュースは到底理解出来なかったが、彼女との手合わせの時間をヒュースは密かに楽しみにしていた。
フン、と鼻を鳴らし寝転ぶ彼女の元に行き「起きろ」とヒュースは言う。
「ん〜起こしてくれ〜」
「甘えるな」
「休憩無しで遊んだじゃん」
「……」
「んわ、ありがとう」
ヒュースは彼女の腕を掴むとぐいと引っ張り起き上げると、彼女は嬉しそうに笑う。
「Aはすぐに攻撃方法が変わるな」
「うーん元々スコーピオンだったし、臨機応変型なんだよね。クセとかあるだろうけど」
「その前におまえは射手だろう」
「スコーピオンで間合いを詰めてから近距離で撃つのが好きなの」
「悪趣味な奴め」
「孤月だと重いからグラスホッパー踏んでもあんまり飛べないんだよね」
「剣を持つなら飛ぶヤツはおまえの機動力を殺すだけだ。間合いを詰めて首を取るなら、おまえが詰めるんじゃなくて相手に詰め寄らせてから斬る方がいい。相手に寄られるのが得意ならの話だが」
「へへ、アドバイスもらっちった」
ヒュースは顔を顰めると訓練室から出ていく。彼女はきょとんとした顔をした後ヒュースの背中を追う。
訓練室を出れば宇佐美から飲み物を受け取り飲むヒュースがいて、彼女はどうしてだと混乱しながらも同じく宇佐美から飲み物を受け取った。
「ヒュースどうしたの」
「？おまえこそ、休憩取りたいんじゃなかったのか？」
「……私のため？」
「ちがう」
「そーじゃん！え！ヒュース！！」
「うるさい」
ー
■ ヒュース
Aには比較的心を開いている玉狛の捕虜くん。このあとランク戦デビューまではAに付き合ってもらって力を貯えることになるが、困ったことがあるとすぐにAの名前を出すので、まことしやかに彼氏説が浮かんでしまうことになることをまだ知らない。
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月26日 0時
