さみしがりやの礼賛 ページ43
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三雲は唯我に阻まれ太刀川隊への入室を拒まれ続けていた。いくら出水と会う約束があると話をしてもよく分からない理屈を通され三雲は困り果てていたのだ。どうしたものかと悩んでいれば、太刀川隊にはよく玉狛に顔を出しては自分や空閑、雨取を可愛がってくれる彼女が所属しているのを思い出し名前を出してみることにしたのだったが、
「小鍛冶ィ？！」
あの犬は君みたいなB級にもしっぽ振ってるらしいが本当だったのか？！
失礼な言葉を並べ唯我はさらに声を上げた。さらに自身の師匠である烏丸の声を出せば更に声を上げた上、ついには強硬手段とばかりに追い返そうとする。
あまりの唯我の態度に本当に太刀川隊の人間なのかと疑いはじめていれば救世主の声が聞こえた。
「ぅおいコラ唯我あぁぁ！」
唯我が続ける前に出水が唯我を蹴り飛ばした。
「おれの客に何やってんだこのやろう」と言う出水の後ろから遅れてやってきた太刀川と小鍛冶がケラケラと笑っていた。
「い、出水先輩！いきなり飛び蹴りなんて非道い！」
「痛いフリすんな。トリオン体だろーが」
「弱いくせに威張るなばかやろう」
「小鍛冶まで！」
立て続けに浴びせられる暴言に唯我が叫ぶのを他所目に彼女は三雲から手土産のどら焼きを貰い嬉しそうに太刀川に手渡している。
騒ぎを聞き付け隊室からやってきた国近は「どら焼き？いいねぇ」と彼女のそばで笑う。顔を出したはいいものの面倒になり太刀川に丸投げする国近は、彼女の髪を撫でる。話はどうやら太刀川隊のエンブレムの意味に流れたらしいが、話を聞き終わった彼女は不服そうに太刀川の服を摘んだ。
「太刀川さん、」
「お？心配すんなって。おまえはこのバックの黒」
「適当？」
「いやいやおまえが俺らの背中にいつもいるってこと」
「……玉狛に引き抜かれちゃうかもしれませんよ」
「ふん。おまえは絶対太刀川隊辞めないね、確信がある」
「ふーん……」
「なんだ？抜けんのか？」
「抜けない！」
だろ、と笑い太刀川は彼女の頭を撫でた。
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 0時
