やわらかいとげ ページ15
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香取葉子にはとても大切に思っている友人が2人いる。1人は彼女の幼馴染の染井華、もう1人は小鍛冶Aであった。
幼なじみの染井は昔から勉学に励む努力家で成績も良かったため三門市でも指折りの進学校へ、一方香取は通えればどこでもいいとボーダー提携の普通校に入学したのが今年の四月。気難しい性格をしている彼女には中々友達といえる関係性を築ける相手がおらず、クラスで1人を持て余していた五月。席替えで隣になったAに話しかけられて一緒にいるようになった六月から、香取とAはほどよい友好関係を築きあげていた。
同じ機関の所属、同じクラス、同性、戦闘スタイル。似通った点が多かったことやAの柔軟で香取の態度を上手く扱える性格、香取の温度差のあるテンションを盛り上げるAの持つ負けず嫌いな一面は、香取にとってはとても居心地がよかったし一緒にいても苦じゃなかった。
Aは香取の良いところはすぐに褒めるし香取の悪いところははっきり言ってくれた。気難しく天邪鬼な香取からしたら取り繕って機嫌取りみたいな物腰は、幼なじみの染井と同じで気が楽だったのだ。
加えてAは烏丸京介と仲が良かった。Aと烏丸が元チームメイトということを理解していたが、目の前で仲良く話されるともやもやと不満になることも多かった。しかしその度にAは香取が烏丸と話が出来るようそれとなく間を取り持ってくれたりするから、Aのことを嫌いになれなかったし、彼女の悪口を聞けばAの代わりに怒ることもしばしばあった。
「ようこちゃん？」
こちらを覗き込む丸い瞳が香取を優しく貫いた。香取はAがこうして目を見て話してくれるのが好きだった。
「……今日本部行こうかな」
「えっほんと？！やったー！一緒に行こ！！」
「わかったわかった」
「個人戦しよ」
「しないわよ変態戦闘狂。A級って戦闘狂しかいないわけ？」
「風評被害じゃん」
「ホントのことでしょ」
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 0時
