彼と過ごした一週間【銀魂】

5.常識人 ページ6

「とりあえず、ここは君の好きに使っていいよ。もうしばらく空き部屋だったしね。」


「しばらく…？では以前は誰か使っていたのですが？」


なんとなく気になり尋ねてみる。この部屋を見たところ、少し埃も溜まっているようだし本当に使われていなかったんだろう。
空き部屋もあるあたり、相当でかい船ということになる。私は別に方向音痴では無いが、下手に歩き回りでもしたら迷いそうだ。


「うん。誰だったかな〜。確か、組織の機密情報漏らして俺が始末したやつだったはず。」


いや平然とそんなことを言うなよ。これから一週間この部屋で過ごさなければならないんだぞ私は。

と、そこへ、コンコンとノックの音がした。


「団長〜、そろそろ会議が…って、嬢さん起きたんだな。」


まさか、この組織に律儀にノックして入ってくる人がいるとは。
喧嘩っ早いのはコイツ…もとい、神威さんだけなのだろうか。
と内心驚きつつ、挨拶をする。


「霧生Aと申します。一週間お世話になります…。」


「俺は阿伏兎だ。団長、この様子だと勧誘に失敗したんだな？このすっとこどっこい。だから攫うなんて真似はやめとけっていったのによ。」


阿伏兎さんの発言に驚く。それでは、私の誘拐は神威さんの単独行動だったのか。それが許されるあたり、神威さんは相当の権力、または実力があるのだろう。


というか、この組織にも常識人、いるんだな…。ここでの生活はかなり不安だったが、少し安心する。
しかし、神威さんが『団長』と名乗っていたためなんとなく察しはついていたが、このガタイのでかい人も神威さんの部下なのか…。


…まって、神楽ちゃんのお兄さんであるあたり、神威さんは夜兎族と考えていいだろう。ということは、阿伏兎さんも…その他にもいるであろう部下の方々もまさか…。

…私はとんでもないところに入り込んでしまったのではないか。

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